支給停止事由消滅届とは??

 支給停止事由消滅届とは、端的に説明すると年金を支給停止している状態が無くなったので年金を再開してくださいという趣旨の届けです。障害年金が支給停止している状態とは、障害等級に該当しない状態を指します。そのため、障害が悪化し障害等級に該当したかもしれないから障害年金を再開してくださいというのが趣旨になります。

 

提出に必要な書類は①支給停止事由消滅届と②障害年金の診断書③年金生活者支援給付金になります。病歴・就労状況等申立書や通帳のコピー等は以前提出しているから不要になります。手続き的には非常にシンプルになっています。

  

眼の障害での支給停止事由消滅届

相談までの流れ

先日、眼の障害で支給停止事由消滅届の提出を行ってきました。

元々視力障害で障害基礎年金2級を取得し3年の有期認定を得て、その後の更新で視力が少し良くなり支給停止になっていました。しかし、その後視力は一進一退の状況で、眼が見えないので仕事できず、将来の展望が抱けないとのことで障害者の計画相談事業所経由で相談が入りました。

 

保有開示情報請求を行い、過去提出した診断書を確保する。

更新や支給停止事由消滅届の相談で共通しているのは過去に提出した診断書等のコピーを取っていない点です。

これについては、大事なのは現在なので過去の診断書は関係ないじゃないか?という意見もあります。ごもっともな意見ですが、そもそも相談者の障害状態が分からなければ適切なアドバイスもできません。その相談者の状態を口で説明を受けても正直よく分からないのが正直な答えなので、過去に年金請求していたならその資料を見るのが一番理解できます。そのためにも、過去提出した資料は重要になります。また、精神系の疾患の場合は2級相当の診断書でも不支給になるケースがあるので、その場合はなぜ、不支給になったのか知らないと手が打てない場合もあるので、過去の診断書は取得する必要があります。因みに過去の不支給事由は少なくとも取り除いた状態で申請しないと支給決定は下りる可能性は低いと感じています。

この事例も過去の診断書(新規裁定の診断書と更新の診断書の2部)を取り寄せました。

不更新の理由判明

過去の診断書を取り寄せ、それに障害認定基準を照らし合わせることで不更新理由が判明しました。相談者のメインの障害は視力障害で新規裁定時は両眼の視力の和が0.05で障害等級2級相当でしたが、更新時は両眼の視力の和が0.1に改善していたので支給停止となりました。そのため、今回の申請においては両眼の和が0.050.08の範囲にあれば2級に該当し支給停止障害が解除される形になります。

 

診断書の再作成に際して留意した点

 相談者から話を伺っていると「医師が手帳の基準を年金に当てはめて診断書は書いても無駄である」と話しているように感じたので、医師には年金は年金の基準があるので両眼で0.08以下なら2級の基準であると説明しました。

 医師の真意は分かりませんが、勘違いは十分にあり得ます。上記は障害年金と身体障害者手帳の等級を整理した表になります。年金と手帳で基準が全く異なります。

再度の検査で両眼の視力が0.05と判明しました。これは2級の基準です。

  

診断書作成時には障害認定基準は医師も理解しているとは思いますが、一応お渡ししています。中には勘違いしている認定基準で「年金が下りないから」と診断書を書かない医師もいるからです。そのために、きちんとした認定基準をお渡しして診断書作成のお願いをしています。

 

 

最後に

身体障害は検査結果が全てですが、その検査結果をスムーズに診断書に記載して貰うのも社労士の役割になります。

因みに現在障害年金の眼の認定基準は身体障害者手帳を踏まえた上で変更に向けて有識者で検討が行われています。