社会的治癒を主張して発達障害にて障害厚生年金2級 事後重症請求にて決定

情報整理

請求障害 発達障害

年額約100万円

認定期間3年

判定平均3.5 程度4⇒目安は2級

請求時点⇒無職

請求時点⇒服薬なし

請求時点⇒家族と同居

手帳⇒精神保健福祉手帳3級

 

社会的治癒とは?

 

社会的治癒は「社会保険の運用上、傷病が医学的には治癒に至っていない場合でも、予防的医療を除き、その傷病について医療を行う必要が無くなり、相当の期間、通常の勤務に服している場合には社会的治癒を認め、治癒と同様に扱い、再度新たな傷病を発病したものとして取り扱う事」と社会保険審査会にて定義されています。要は、医学的には治癒していない疾患であっても社会生活を営めているなら過去の初診日をリセットして新しい受診日を初診日としようと言う考えで障害年金や健康保険の傷病手当等で活用されています。

 

本件の経緯

初診は20086月で、その際に精神科に数回受診。その時は神経症と診断された様子、そこから約10年未受診期間があり、再度受診した20186月の時点で広汎性発達障害と診断される。未受診期間には精神科は無論のこと、精神系の疾患にて通院した経験はありません。

2008年6月に精神科受診をした際には保険料納付要件は満たしていませんでした。

通常、何もしなければ20086月が初診日になり保険料納付要件を満たさずに年金請求が不可になります。

そこで、この10年の未受診期間を社会的治癒していた期間と考え初診日を再受診した日で請求しました。

 

論点:20086月の時点では発達障害は判明していなかったが、本来発達障害は先天性の疾患で、変化があまりないと考えられる疾患なのでそれで社会的治癒が認められるか?

 

そもそもこのケースは20086月を初診日とすると保険料納付要件を満たさずに年金請求ができないケースなので是が非でも社会的治癒が必要なケースでした。

 

社会的治癒の主張方法

病歴就労状況申立書では約10年間の未受診期間を詳細に記述しました。嘘はかけないので事実に即して、ただ、元気に過ごしていた理由、その様子、この期間に頑張ったこと等を中心に記述しました。

この間に国家資格を取得した事実もあったので資格証も提出し家族旅行に行った写真も添付しました。

2008年6月時点の受診状況等証明書は取得できないので提出していません。なので、20086月に通院して受診が中断した理由は不明なままです。

一般的な社会的治癒が認定される様子が3-5年以上の未受診期間、その未受診期間に社会生活を営んでいた事実が求められますが、本事例においては10年の未受診期間、その間の就労の事実、国家試験合格等を主張しました。

 

 

今回の決定に関して感じる事。

 

障害認定調書など確認していないので請求障害である発達障害が2008年時点で存在していたのかどうかは不明ですが、社会的治癒が認定された事例としては価値があるのかと考えます。

障害年金はテクニックを知っているかどうかで結論が変わることは多いので、初診日、保険料納付要件でお困りならぜひご相談いただければと思います。