眼の障害で支給停止事由消滅届、併合認定で障害基礎年金1級再開

  今年の6月に支給停止状態であった視覚障害者の支給停止事由消滅届の件で10月に結果がでました。無事年金支給の再開がなされ、かつ2級から1級へ引き上げが行われました。

請求者からすれば大金星の結果でした。以下ではこの事例の解説を行います。

 眼の障害の特徴

 

障害年金においては眼の障害は①視力障害②視野障害③その他の障害で判定されます。

しかし、認定基準の多くは①視力障害②視野障害で構成されております。

認定基準

因みに、「視力障害、視野障害、まぶたの欠損障害、調節機能障害、輻輳機能障害、まぶたの運動障害、眼球の運動障害又は瞳孔の障害が併存する場合には、併合認定の取扱いを行う」と障害認定基準に記載されています。これは視力障害2級、視野障害2級の場合は併合して1級になることを意味します。本事例ではそのお陰で1級になったと考えています。

  

診断書の検査結果について(視力障害)

 

請求人は、瞼の欠損、眼球運動等に異常はなく視力障害と視野障害の2障害がメインでした。視力障害の検査結果は「右目が裸眼で光覚なし、矯正が矯正不能」で「左目が矯正で0.05矯正眼鏡が+7.0D」でした。右目が光覚なしとなっていますが、光覚なしは視力なし(0.00)となります。

眼の障害の2級の基準は両眼の視力の和が0.05以上0.08以下となっているので、右目が0.00で左が0.05なので両眼の和は0.05となり2級です。

診断書の検査結果について(視野障害)

視野障害での2級の認定基準は、「身体の機能の障害が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」と別に定められています。

以下が別に定められた基準です。

求心性視野狭窄又は輪状暗点があるものについて() ()のどちらかを満たせば2級に該当します。

() Ⅰ2 の視標で両眼の視野がそれぞれ 5 度以内におさまるもの

() 両眼の視野がそれぞれ4 の視標で中心10度以内におさまるもので、かつ、2 の視標で中心10度以内の8方向の残存視野の角度の合計が 56 度以下のものこの場合、左右別々に8方向の視野の角度を求め、いずれか大きい方の合計が56度以下のものとする。

請求人の視野障害の検査結果は中心視野が左右とも測定不能で、2の測定値による中心視野の角度は左右とも360度全て0度でした。

これは、() Ⅰ2 の視標で両眼の視野がそれぞれ 5 度以内におさまるものに該当するので2級です。

 

併合認定

 眼の障害は視力障害、視野障害と併存するケースが多いので併合認定が認められています。併合認定は以下の表に各障害を当てはめて併合後の等級を当てはめます。

この表は分かりづらいですが、見慣れれば理解できると思います。この事例は2級なので2級を中心に解説します。

 2級は234号と3つに分けられます。3級、障害手当金も同様に3つに分けられます。234号は障害の程度の様にイメージすれば分かり易いかもしれません。同じ2級でも3ランクに分かれるイメージです。例えば22号と22号の表を照らし合わせると1となります。この111号を指します。例えば35号と35号を照らし合わせると3となります。これは23号を意味します。

話を元に戻すと視力障害2級は221に該当します。

一方で視野障害は247に該当します。

  22号と24号を併合認定表に当てはめると11号に該当します。

 

 終わりに

本事例は視力障害と視野障害の2障害の併合により1級になった事例でした。請求人は数年間3級程度に該当するということで数年間支給停止状態が継続していました。しかし、一般の方がどのタイミングで再請求を行うか、失敗すれば診断書料が無駄になることから判断は難しいと思いますし、幸運が重なったラッキーな事例でした。眼の障害は認定基準の改正が予定されています。この改正が本来受給できるはずなのにできない人の救済につながることを切に願います。