1-1 障害年金の請求方法について
1-1-1 認定日請求
障害年金の請求方法はいろいろありますが、ここでは2種類+1を説明します。
原則的な方法は認定日請求(本来請求)です。
これは原則的な請求方法で初診日から1年6か月経過した時点の障害認定日の障害状態で請求する方法です。初診日は前回説明しましたので、前回の記事をご確認ください。
障害認定日は厚生労働省が独自に設定した障害の程度を判断する統一の基準です。機械的に初診日から1年6か月経過した日が障害認定日でその時点の障害状態で年金の等級を決します。
ただし、1年6か月以内に障害認定日が来る以下の2つの例外があります。
① 1年6か月経過前に症状固定の場合
障害認定日の例外に該当するケース | 障害認定日 |
人工透析療法を始めた場合 | 透析開始から3カ月経過した日 |
人口骨頭、人工関節を挿入置換した日 | 挿入置換日 |
人工弁・ペースメーカー等を装着 | 装着した日 |
手足の切断 | 切断した日 |
咽頭全摘出 | 摘出した日 |
脳血管疾患による機能障害 | 初診日から1年6か月経過日以降で症状固定と認められる日 |
上記は一例ですが、この様な場合は1年6か月以前でも障害年金が請求できる可能性があります。
② 20歳前傷病の場合
この場合障害認定日は20歳の誕生日の前日になります。ただし、障害認定日が20歳以降に到達する場合はその日になります。
知的障害の場合は初診日が出生日になるので20歳の誕生日の前日が障害認定日なります。19歳に初診日があるケースでは20歳以降の障害認定日到達日がそれに当たります。
ちなみに、認定日請求(本来請求)で受給権が認められた場合、障害認定日の翌月から年金が支給されます。
1-1-2 認定日請求でよくあること
実務で多いのが障害認定日の時点で通院していないことです。精神疾患を例に挙げると、数回通院していたが自己中断し、その後数年後に別の病院に通院したケースを考えます。初めの病院が初診日と認定されると仮定します。このケースは初診から現在の通院までの間数年間の中断期間があり、この中断期間も初診から1年6か月の経過期間と考えられるので刻々と時間が経過していることになります。よって、障害認定日時点で通院していない=カルテが無いという理由で診断書を書いてもらえず認定日請求ができないということになります。
この場合、下記でも説明しますが認定日請求は行えずに事後重症請求での請求になります。
障害年金を念頭に置きながら通院する人は少ないでしょうが、認定日請求ができない理由の多くはそもそもカルテが無いケースも多です。なので、通院は自己中断せずに、きちんと最後まで受診することをお勧めします。
1-2-1 事後重症請求
障害認定日の時点では症状が軽く障害状態に該当しないが、後々(65歳未満まで)障害状態が悪化して障害等級に該当する場合に請求するケースです。
実務上は、継続的に通院していたが障害認定日の時点では障害等級に該当しなかったが後に障害状態が悪化し事後で請求する方法と障害認定日の時点で通院せずにカルテが無いのでやむなく事後重症請求する方法の2つに分かれます。
がんで前者の例を考えると、障害認定日の時点ではステージ1程度のがんで障害等級に該当しなかったが、後々ステージ4まで上がり障害状態に該当したので事後重症請求を行うなどです。
ちなみに事後重症請求の場合は請求した月の翌月から受給権が認められると年金が発生します。なので8月1日に請求しようとも8月31日に請求しても受給権発生は9月です。
1-3-1 遡及請求
端的に言うと、認定日請求と事後重症請求をミックスした請求方法です。
障害認定日には障害状態に該当していたが、その時は請求できずに障害認定日から1年以上経過した後に請求する方法です。事後重症請求との違いは障害認定日時点で診断書が書けるかどうかで、書いてもらえる場合は遡及請求、書いてもらえない場合は事後重症請求になります。実務的には当時から継続して通院していたが障害年金制度を知らなかったので今から請求するというケースが多いです。