会社の所在地が移転したら?労働保険名称、所在地等変更届の提出

 労働保険名称、所在地等変更届

会社の名称・所在地・電場番号・事業の種類が変更になった場合、「労働保険 名称、所在地等変更届」を提出します。提出先は移転後の所在地を管轄する労働基準監督署になります。もし、会社の名称などが変更になっただけの場合は現在の管轄の労働基準監督署に提出することになります。

因みに会社が県をまたいで移転する、県内で移転する、市内で移転する場合でも手続きは同じで「労働保険 名称、所在地等変更届」の提出で大丈夫です。

因みにこの届出でカバーできるのは労災のみので、他に雇用保険被保険者がいる場合はハローワーク、会社が法人なら年金事務所などに届け出が必要になります。

以下の表で整理しています。

 

添付書類としては変更後の「登記簿謄本」が必要になります。

 

労働保険はなに?

そもそもの話になりますが、労働保険は何?という話になります。

労働保険は労働者災害補償保険法(通称労災)と雇用保険の総称です。要は働く際の労働者用の保険で労災は業務災害や通勤災害の補償、雇用保険は失業時の所得補償を指します。医療保険と年金を指す社会保険とは一線を画する保険になります。

 

労働保険は農林水産業以外では1名以上労働者がいれば加入することになります。また法人の場合は農林水産業でも1名でも加入になります。

加入要件的には1名の労働者でも加入義務はあるのは厳しく感じるかもしれないですが。保険料の負担は社会保険と比較すれば軽いです。例えば労災で飲食店の保険料は3/1000です。

因みに個人事業主(社長)は労災の対象にはならず、雇用保険にも加入できません。労災はあくまでも労働者の保険なので社長は加入できません。もしどうしても加入したいなら特別加入することになります。

労働保険の加入単位

労働保険は事業所ごとの加入です。

法人単位での加入ではないので注意が必要です。

事業所は店舗・支店等のイメージです。例えば一人のコンビニのオーナーが別々の場所で2店舗コンビニを経営してる場合、労働保険はその店舗ごとで加入します。A店舗でB店舗の手続きを手続きをしても問題なさそうですが、法律は店舗ごとでの労働保険加入を求めています。

しかし、A店舗・B店舗と同じ様な事業所が2か所あるだけで同じ手続きを2回するのは非効率なので同じ事業の種類ごとのグループでまとめて労働保険料の申告・納付ができるようにするのを「継続事業の一括」と言います。

 

 

継続事業の一括の要件

(1) 指定事業とその指定事業に係る被一括事業の事業主が同一であること

(法人の場合は、同一法人の支店、営業所等に限る)
(2) それぞれの事業が継続事業で保険関係が成立していること
(3) それぞれの事業が、「労災保険率表」による「事業の種類」が同じであること
(4) それぞれの事業が、保険関係区分

(労災保険と雇用保険の両保険が一元適用なのか、別々の適用なのかの区分のこと)が同じであること

(5) 指定事業で被一括事業の労働者数・賃金の把握ができる。

(6) 労働保険事務を円滑に遂行する事務能力があること

(7) それぞれの事業で労働保険の適正な申告・納付が行われること

 

手続の流れ

 

A店舗が先に存在し、すでに「労働保険関係成立届」を提出し労災に加入していることを前提で進めます。

① B店舗で「労働保険関係成立届」を管轄の監督署に提出します。

② 手続き完了後、戻された成立届に付与された労働保険番号をもとに、「労働保険継続事業一括認可・追加・取消申請書」を本社の所在地を管轄する労働基準監督署に提出します。

③ この結果A店舗のみの労働保険番号が残ることになります。B店舗の番号は消滅します。