人材確保助成金(雇用管理制度助成コース) 健康づくりコース 57万円

 

人材確保助成金(雇用管理制度助成コース)を知っていますか?

この助成金もできてから数年経過していますが、中々魅力的な助成金です。特に少人数の事業所にとっては美味しいです。まだの会社は是非これを機にご検討ください。

 

雇用管理制度助成コースについて

 事業主が、雇用管理制度(諸手当等制度、研修制度、健康づくり制度、メンター制度、短時間正社員制度(保育事業主のみ))の導入等による雇用管理改善を行い、離職率の低下に取り組んだ場合に助成されます。

一応5種類の雇用管理制度が導入可能となっていますが費用面や実施可能性を考えると健康づくり制度一択になります。

この助成金は正社員全員に導入した雇用管理制度を実施しないといけません。例えば諸手当制度を導入すると導入した諸手当が全正社員に支給されないと助成金は受給できません。家族手当を導入しても独身で家族手当の対象にならない労働者がいる場合はその人の為だけに別の手当(例えば住宅手当等)を作らないといけないことになります。また、手当の場合はコストも高くなります。1,000円の手当でも12か月で12,000円、2,000円なら24,000円です。健康づくり制度でがん検診の場合は10,000円程度で受けてもらうことが可能でそれも1年度1回でOKです。また研修も同じで全正社員に研修を受けさせないといけないのでコストがかかります。毎年必ず研修を受けさせている会社ならともかくこの助成金を念頭に研修を選択するメリットはありません。

その為、多くの会社では健康づくり制度一択で進めています。健康づくり制度の数ある健康診断の中で歯周病疾患健診のみ認める制度設計もできますし、がん検診を織り交ぜることもできます。会社負担を考えるなら歯周病疾患健診のみですが、選択肢がある方が良いと考えるならがん検診など入れても問題ないかと思います。

 

簡単な流れは労働局のパンフレットにあります。

 

 

上記図を文字化した物です。

2020.6.1~2021.5.31 計画時離職率の算定期間⇒A

2021.6.10     ① 計画書の認定申請

2021.8.1-2022.7.31 ② 雇用管理制度整備計画期間=この期間に制度の導入・実施します。

2022.8.1-2023.7.31 評価時離職率算定期間⇒B

2023.8.1-2023.9.30 ③ 目標達成助成申請期間(目標達成した場合に57万円の支給申請)

 

弊社では②の雇用管理制度整備計画期間を3カ月で提案しています。計画期間は3カ月から1年以内でOKです。

2020.6.1~2021.5.31 計画時離職率の算定期間⇒A

2021.6.10      ① 計画書の認定申請

2021.8.1-2021.10.31 ② 雇用管理制度整備計画期間=この期間に制度の導入・実施します。

2021.11.1-2022.10.31 評価時離職率算定期間⇒B

2022.11.1-2022.12.31 ③ 目標達成助成申請期間

 

 

 

計画期間

計画期間は3カ月から1年以内で定めます(絶対1年間でないといけないことはありません。多くの会社は3カ月で進めています。)計画期間内に正社員全員に導入した雇用管理制度を実施する必要があります。もし、健康づくり制度を導入する場合最短3カ月以内にがん検診等を実施します。ここでのポイントは全正社員です。一部の正社員にしか健康づくり制度を実施できなかった場合は助成金の受給は不可になります。そのため、費用負担を嫌がり労働者が拒否する場合を想定し初回と2回目の健康づくり制度は全額会社負担で進めることをお勧めします。

 

 

 

 

離職率の考え方

  

ここでのポイントは離職率のカウントは雇用保険被保険者の資格喪失者数で行われる点です。雇用保険未加入者がいくら退職しても問題ありません。しかし、雇用保険被保険者の資格喪失者数は自己都合退職でもカウントされま。雇用保険に加入している労働者が一名でも辞めればカウントされると理解しておいてください。数名の事業所ならそれで受給要件を満たさなくなるリスクがあります。

 

低下させる離職率ポイント(目標値)

 

計画施行前後の離職率で判断しますが、Aの期間に離職者がいない場合は当然ながらBの期間はゼロでないといけません。また、創業間もない事業所でAの期間が1年取れないケースも離職率はゼロとカウントされるので注意が必要です。

自己都合退職でも離職率にカウントされることから昨年みたいにコロナで離職者が出た場合は受給要件を満たさない可能性が出てくるので注意が必要です。そのため、正社員が1名で他の労働者がいない事業所等は非常に美味しい助成金になります。

 

受給要件の中でのポイント

 

① 計画書を労働局に提出前に法定の定期健康診断を実施しておく。

(それを実施しないと計画届を受け付けて貰えません)

② 計画期間内に正社員全員に対して雇用管理制度を導入して実施する。

(計画期間内に就業規則の変更を行い、健康診断を全正社員に実施)

③ 支給申請までにもう一度、雇用管理制度を正社員全員に導入して実施する。

(支給申請時には直近の雇用管理制度を実施した領収書を提出します。)

④ 直接関係はないですが、未払いの残業代等があればお支払いしておくことをお勧めします。

 

終わりに

 

助成金の不支給理由の一つに請求忘れが有ります。申請期間は2カ月です。忘れてしまうと目も当てられません。そうならないために助成金の申請は社会保険労務士にご相談ください。