障害認定基準から見る障害年金制度の目的 その2
知的障害の障害認定基準について
障害年金は「障害により日常生活に制限が加わる場合の所得補償制度」と説明しましたが、どのような状態が「日常生活に制限が加わる状態」か気になる所だろと思います。下記の表は精神系の障害認定基準になりますが、正直みてもよく分かりません。
そして、もう少し突っ込んだ内容が下記にあります。下記は知的障害の場合の具体的な認定基準です。
(3) 知的障害の認定に当たっては、知能指数のみに着眼することなく、日常生活のさまざまな場面における援助の必要度を勘案して総合的に判断する。 また、知的障害とその他認定の対象となる精神疾患が併存しているときは、併合(加重)認定の取扱いは行わず、諸症状を総合的に判断して認定する。
(4) 日常生活能力等の判定に当たっては、身体的機能及び精神的機能を考慮の上、社会的な適応性の程度によって判断するよう努める。
(5) 就労支援施設や小規模作業所などに参加する者に限らず、雇用契約により一般就労 をしている者であっても、援助や配慮のもとで労働に従事している。 したがって、労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、現に労働に従事している者については、その療養状況を考慮するとともに、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況等を十分確認したうえで日常生活能力を判断すること。
少し長いですが読んでいただけたでしょうか?読み進めると、食事や身の周りのことを行う等、日常生活能力が一つのキーワードになっていることがお判りでしょうか?
この認定基準を落とし込んだのが、精神の診断書 様式第120号の4になります。
厚生労働省は提出を受けた診断書の裏面の「日常生活能力の判定」と「日常生活能力の程度」により、請求者の「障害による日常生活への制限の程度」を判断し障害等級を決定する形になります。
以前は、どの程度にチェックがあれば年金が受給されるかの目安が提示されていませんでしたが、現在は平成28年9月に「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」に「障害等級の目安」が明記されています。なので、現在はこれを参考に障害等級の目安を立てることが可能です。