就労継続支援B型通所中、うつ病で障害厚生年金 2級決定事例
就労継続支援B型通所中、うつ病で障害厚生年金 2級決定事例
2021年7月終わりに申請した障害厚生年金の結果が9月終わりに分かりました。結果は無事2級で決定されました。最近私が申請代行するケースは結果が出るのが早く約2カ月で決定されています。長く審査がかかり不安という声も聞きますが、素早い決定に感謝です。
うつ病で障害年金 受給できるの?
最近弊社への問い合わせが多いのがうつ病・発達障害で年金が受給できるの?という質問です。答えは受給できますが、どちらかと言うと病名より障害による日常生活の困難度で年金受給が決まると回答しています。
中には十数年うつ病と闘っていたが改善が見られない方からも同様の相談を受けました。
障害年金は病名でなく障害の状態で決まる。
障害年金は原則として病名で門前払いされる(不支給)ことはありません。(精神障害で言えば神経症関係、例えばパニック障害、人格障害等は対象外ですが、ごく一部です。)
不支給になる原因の多くは① 病状が軽い ②病状が軽く、日常生活にもさほど影響を与えていない等が考えられます。例えば「がん」は障害年金の対象です。日本人の半分が癌になり、死因の1/3が癌を原因として死亡しますが、ではその日本人の半分すべてが障害年金を受給できるのかと言えばそんなことはありません。理由は日常生活に影響を与えない程度の癌であるという事です。初期の癌で投薬治療を受ける事で問題なく日常生活を送れているならそれは障害年金の対象にならない癌という事です。
うつ病もその理屈で考えるといくら重度のうつ病と病名がついてもそれにより日常生活に影響がないなら障害年金の対象にならないことを意味します。知的障害は軽度・中度・重度・最重度の4つに分けれますが、私が代行請求したケースでは軽度知的障害でも障害基礎年金2級がよく認定されます。もし、病名で年金等級が決まるなら軽度知的障害では年金がおりないことになりますが、現実は違います。
うつ病が障害と言えるのか?
うつ病で障害年金が受給できるのか?と悩まれている方はどちらかというと障害なのかどうか?と悩まれているケースが多いのかと感じます。
正直うつ病が病気なのか?障害なのかの判断は社労士にはできません。そこは医師がどの様に判断するかになります。
知的障害や発達障害は先天的な脳の発育不全でそれが長期間に及ぶので障害と考えやすいですが、うつ病などの精神障害は時の経過とともに病状も変わるので障害という固定化した概念に馴染まないと考えるのは一理あります。
うつ病と診断され、何カ月たてばそれが障害になるのでしょうか?一ヶ月ですか?二か月ですか?それとも1年でしょうか?そこは明確な線引きできる訳ではなく不明瞭です。もし、障害化しているのか診断書を提出してみないと分からないなら、行政側は事務処理負担が膨大に増え、一方も請求者もどのタイミングで申請したら良いのか分からずに不必要な請求をする可能性もあります。
そこで、不安定な障害化という概念を一律に規定したのが障害認定日という概念です。
うつ病は障害認定日を経たら障害化する?
障害認定日は初診日から1年6か月経過した時点を差し、その時点で障害の程度を判断します。その様に線引きすることで年金の請求のタイミングが明確化できます。しかし、これには例外もあり例えば肢体障害で肢体を切断した場合は切断時点が障害認定日になります。しかし、これら例外は客観的にケガや病気が障害化したと判断できるので1年6か月経過の考えから逸脱しても異論はないと思います。
ただし、この障害認定日の考えは行政上の事務処理の簡素化のためのもので、1年6か月経過すればその時点の診断書を活用して障害認定日請求ができるというだけで、医師がその時点でのうつ病はあくまでも病気で障害化していないので診断書は書けないと言われれば従わざる負えません。この点はイメージ湧きづらいかもしれないですが、理屈上は、1年6か月経過すれば行政は障害化したとして認定はするが、そもそも障害かどうかの判断は医師が行うので、医師が障害化していないと判断すればそれは障害ではないので請求できない事を意味します。
最終的に請求できるかどうかは医師の判断になりますが、少なくとも障害認定日を経過していたら行政上は請求できるので請求する方向で話を進めていきます。
本事例について
本事例はうつ病にて①服薬有 ② 就労継続支援B型利用 ③ 家族と同居 ④ 障害等級の目安は2級のケースだったので当初から2級の予想は建てていました。懸念としては就労継続支援B型を利用していたので、①工賃額 ② 作業場での様子 ③配慮事項等を詳細にまとめ、別紙と言う形で提出しました。以前、知的障害(軽度)・統合失調症(精神2級)の方で一人暮らし、就労継続支援B型利用で20歳前の障害基礎年金が不支給の事例に出くわしたことが有りました。その先例が本事例にそのまま当てはまる訳ではありませんが、少しでも年金受給にマイナスの可能性が有るならその不利な事象は補強するのが当然の判断なので就労状況について別紙資料を提出しました。
終わりに
この事例は診断書だけみたら危なげなく2級の事例でした。しかし、それは結果論で、就労継続支援B型利用の事実で3級になる可能性も少なからずあった事例でした。障害年金は少しの事で不支給になる可能性もある制度です。受給の可能性を少しでも高めたいなら是非ご相談ください。