双極性感情障害で20歳前の障害基礎年金 事後重症請求完了

先日、20歳前の障害基礎年金で事後重症請求の申請が完了しました。

障害名は双極性障害でした。

障害基礎年金は日常生活能力の有無で受給の可否が判断されるので、診断書と病歴・就労状況等申立書で日常生活能力が無いと判断されないと年金が受給できません。

 

請求上の論点

 

① 請求者が一人暮らし

今回の請求人は独居状態でした。冒頭で説明した通り障害年金は日常生活能力の有無で判断されます。診断書(裏面)日常生活能力の判定と日常生活能力の程度の関係は障害等級の目安に当てはめると2級程度でした。

しかし、現実は独居しているので、その事実が障害等級2級(日常生活能力が無い)という事と矛盾しないか問題になります。

 

そこで、ポイントになるのが平成289月に厚生労働省から出された「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」(以下「ガイドライン」と略する)になります。ガイドライン7頁に(表2)総合評価の際に考慮すべき要素の例 ③生活環境の所に独居のことが規定されています。

共通事項には、独居の場合、その理由や独居になった時期を考慮するとあります。また、「独居であっても、日常的に家族等の援助や福祉サービスを受けることによって生活できている場合(現に家族等の援助や福祉サービスを受けていなくても、その必要がある状態の場合も含む)は、それらの支援の状況(または必要性)を踏まえて、2級の可能性を検討する。」とあるので、独居=日常生活能力がある⇒年金不支給にならないことを意味しています。

この請求者の場合は独居を好んでした訳ではなく元々家族が生活保護受給の為に請求人だけ世帯分離したという事実がありました。また、親とは世帯分離していると言えども親は同一マンションの同一階に住んでおり、食事等含めた日常生活全般はその親の支援を受けているという事実もありました。そこで、その事実を活用しない手はないので診断書にしっかり記載して貰いました。

申請したばかりなので結果は分かりませんが、「ガイドライン」が求めている最低ラインの対応はできたと思います。

因みに、それ以外の方法としてはヘルパーを利用する方法等があります。多くの方がヘルパー利用を必要としていますので、もし利用していない場合はこれを機に利用してもらいます。

 

② 初診日は幼少期(小学生頃にあり)

請求人は児童虐待を受けていたケースでした。初期相談では初診日は19歳頃(大学生)と伺っていましたが、その19歳頃通院していた病院で受診状況等証明書を取得すると前医の存在が伺える記述があったので初診日を過去に遡っていきました。(別の考えとして最近初診日の要件が緩和され20歳前の障害基礎年金の場合は20歳前の初診日があることが分かればそれで初診日が特定できるという考えもあります。しかし、この手段は最後の手段であると当職は認識しているので、とりあえず原則通り初診日を特定して過去に遡っていきました。)すると、19歳初診の病院より前にまだ2か所病院がありました。本当の初診の病院はカルテが破棄されていましたが、2番目の病院はカルテが保存されており、そこには1番目の病院からの紹介状も保存されていました。そのため、1番目の病院は「受診状況等証明書を添付できない申立書」をつけて、2番目、3番目の病院の受診状況等証明書を添付しました。

そこで、少し気になったのが2番目と3番目の病院で約10年通院期間が開いていた点です。その点について主治医は特に気にしておらず、1番目の病院が初診日であるという認識でした。私も仮に2番目と3番目の通院間で相当因果関係がないとみなされたとしても初診日は20歳まであることは確実なのでそこまで気にはしていませんでした。

2番目と3番目の病院の間も通院はしていないものの、うつ状態や何かしらの精神疾患の様態は確認できたのも気にしなかった理由になります。

 

終わりに

本件において最大の論点は、①「請求者が一人暮らし」という点で、これさえクリアすれば年金は下ります。当職としても「一人暮らしになった経緯」と「近くにいる家族の支援を受けてどうにか日常生活が成立している事実」を診断書に入れてもらうことに成功したので、後は天命に任せる気持ちです。

 

障害年金は一人暮らしでもチャンスはあります。お困りの方は是非ご相談ください