特別児童扶養手当 診断書写しで20歳前の障害基礎年金 受給決定

前回、特別児童扶養手当 診断書の写しを20歳前の障害基礎年金の診断書の写しに代替して申請したとお話ししましたが、無事受給決定の通知が来ました。

申請が3月半ばで通知が6月頭だったので3カ月かからない程度で比較的スムーズに審査が行われました。正直この取り扱いには半信半疑な部分もあったので無事認定されたという結果がでてよかったです。

  

特別児童扶養手当の診断書を年金診断書に代替できる根拠

代替できる根拠としては「特別児童扶養手当支給にかかる直近の診断書を提出する場合は、当該診断書ですでに障害基礎年金と同様の認定をされていることを踏まえ、診断書の作成日にかかわらず、受付・審査を行うこととし、必要に応じて現症の確認を行う」と年金機構業務処理マニュアル⑤-2 平成253月「国年厚年 年金給付1裁定」 1-4-15 に記載されています。

 

代替できる根拠は年金機構側のマニュアルにあります。

マニュアルの根拠と根拠法について

では、そもそもなぜマニュアルにその様な記述があったのでしょうか?

そのマニュアルの根拠になったのが昭和40710日庁保険発第33号「障害福祉年金裁定請求書等に添付すべき福祉年金診断書の添付の省略及び重度精神薄弱児扶養手当の額の調整に関する事務処理について」になります。それによると、「現に父母又は養育者に支給されている重度精神薄弱児扶養手当(現「特別児童扶養手当」)の支給の対象となっていた者は診断書の提出が省略できると書かれていたそうです。

引用にはなりますが、「もともと特別児童扶養手当は国民年金法に遅れて創設され、障害の等級表は国民年金と全く同じものが使用されていました。」(『障害年金請求援助・実践マニュアル 精神障害者の生活を支えるために』242頁参照)と記載が有ります。

ようするに、特別児童扶養手当の認定基準と障害基礎年金との認定基準が同じだから、特別児童扶養手当の診断書を障害年金の診断書に代替させようとしたのです。

 

因みに認定基準が同じというのは以下の条文から理解できると思います。

 

特別児童扶養手当等の支給に関する法律 第25

「障害等級は、障害の程度に応じて重度のものから一級及び二級とし、各級の障害の状態は、政令で定める。」となっています。

 その政令が特別児童扶養手当等の支給に関する法律施行令になります。

特別児童扶養手当等の支給に関する法律施行令第13

「法第二条第五項に規定する障害等級の各級の障害の状態は、別表第三に定めるとおりとする。」と記載されています。

 

 

下記が障害基礎年金1.2級の認定基準です。

 

両者とも内容は全く同じです。これが、特別児童扶養手当の診断書を障害年金の診断書に代替できる根拠になります。

因みに、特別児童扶養手当と障害年金の認定基準が同じとしても、診断書の中身自体は全く異なる内容のものになります。特別児童扶養手当の診断書の中身は障害児を対象にしていることから基本的なADLの状態確認となっています。そのため、本当にこの特別児童扶養手当の診断書で障害年金の認定がなされるのか?と疑問に思うことが多々あります。私も大丈夫かな?と思いましたが、無事認定された点を考えるとこの年金機構のマニュアルは活きているのだと再認識できました。

提出した特別児童扶養手当の診断書は全ての日常生活動作が「自立」となっていました。障害年金に置き換えると3級にも認定されないような診断書でも特別児童扶養手当2級が認定されていた点にまず驚きました。すべて「自立」という内容の診断書で年金2級が認定される可能性があること自体が障害年金制度を知っている人なら信じられないと話に聞こえますが、事実です。

特別児童扶養手当の診断書で認定されるメリット・デメリット

 

メリット

① 障害年金の診断書料がかからない。(そのために、通院しなくてもよい)

② 障害年金2級は厳しいかも?という障害程度でも障害年金2級が認定される可能性がある。

 

デメリット

① 普通に診断書を提出すれば無期認定される可能性が有っても有期認定となる。

② 普通に診断書を出せば長期間認定(4年以上)される可能性があるケースでも2年か3年の有期認定となる。

 

 

特別児童扶養手当の診断書を提出する際の不安点

① 市役所や年金事務所も理解していないケースが多く、その説明から始めていかないといけないので大変

② また、制度自体が認知されていないので、本当に認定されるのか普通に診断書を提出するより不安感が強い。

 

注意点

① 特別児童扶養手当の診断書を提出する際に更新時注意が必要です。

特別児童扶養手当の診断書を踏襲した形で障害年金の更新の診断書が出来上がると、年金を継続的に受給するのは難しい場合が有ります。理由は先程も説明した通り、日常生活動作が全て「できる」診断書でも特別児童扶養手当2級が受給できる場合があることを視野に入れると、そのまんまの内容で年金の診断書の中身にスライドした場合、十中八九更新が不可になるからです。そのため、障害年金の更新の際は日常生活面のヒアリングをしっかりした上で臨まないといけません。

 特別児童扶養手当の診断書で年金請求する際の流れ

流れは通常の障害年金の申請と変わりません。年金の診断書の代わりに特別児童扶養手当の診断書を提出するだけです。

① 特別児童扶養手当の診断書を提出した役所から特別児童扶養手当のコピーに原本証明をしてもらう必要があります。もし、特別児童扶養手当のコピーが無い場合、その診断書を手に入れることから始めます。コピーが手元にない場合は個人情報開示請求などで取得することが可能です。注意点は特別児童扶養手当の証書では不可で、あくまでも原本証明された診断書が必要になります。

 

② 診断書に原本証明をしてもらえば、障害年金の診断書に代替できます。そのため、他に必要な書類は病歴・就労状況等申立書と障害者手帳のコピーと受診状況等証明書(知的障害で請求する場合は不要)と通帳の写し等になります。私は任意提出書類として当時受けていた特別児童扶養手当の証書も提出しました。

③ それら書類を揃えて区役所か年金事務所に申請しに行きます。

④ 3カ月ほどすると結果が出ます。

 

注意:病歴・就労状況等申立書は通常の申請通りに必要になります。そのため、成育歴等のヒアリングは必要になります。

 

 最後に

特別児童扶養手当の診断書で障害年金を請求するのは不安があるかと思いますし、役所への説明など面倒な手間もいります。病歴・就労状況等申立書の作成も必要になることから、お困りの場合は是非社労士にご相談ください。

最短2週間~1か月で申請まで完了させることが可能です。