初診時のカルテ破棄でも発達障害・うつ病で障害厚生年金3級受給決定

 

先日、昨年6月に請求していた障害厚生年金の請求で無事3級と認定されました。

審査に約半年以上かかりましたが無事3級認定が下りてよかったです。3級認定は想定内の範囲だったので良かったです。

しかし、この案件は初診日のカルテが破棄されており受診状況等証明書が取得できず、かつ現在の主治医のカルテにもアバウトな形でしか初診日の通院状況が記載されていなかったので初診日の認定がなされるか不安な案件でした。そして請求人は当時就労しており手取り13万円程度は稼いでいたので厚生年金の請求でしか年金は下りないと考えていたので是が非でも厚生年金での請求で進めないといけない案件でもありました。

以下で上記の点について説明します。

 

 初診日のカルテ破棄でも初診日が特定できた理由

① 請求人は現在の病院を含めて初診の病院2番目の病院の計3件の病院に通院してました。初診の病院は平成2011月~12月にかけて通院し「デパス」等が処方されていましたが、薬の副作用などから自己判断で中断してています。この病院は精神科の廃止に伴いカルテが全て破棄されていましたが辛うじてパソコンに請求人の氏名と終診年月日が記載されていたことからそれだけを「受診状況等証明書」に記入してもらいました。

二番目の病院ではカルテは存在しているが、証明書の作成が不可とのことでここでは「受診状況等証明書を添付できない申立書」を作成し添付しました。

現在の病院では過去の通院歴は話していなかった様子で、全くの初診という形で通院していました。ただ、精神保健福祉手帳の診断書に記載されていた「発病から現在までの経過」の部分で「大学卒業後、就職した後より、対人コミュニケーション等の課題が目立つようになる」と記載されていました。このフレーズは初診日の特定で使えると感じたので、これを中心に初診日に関する申立書を別紙作成しました。

 

② 請求人は物持ちがよく、平成20年ごろに通院していた病院の診察券や処方された薬の明細などを持っていたのでこれを初診日に精神的に不安定であったという証拠に活用しました、特に診察券は初診から2回目以降の通院歴が記載されていたことから終診までの流れの説明に役立ちました。しかし、これらの情報はあくまでも初診候補の病院が精神科でかつ本人が精神的な不調をきたして精神薬を処方されていた可能性を説明できたにとどまり初診候補の病院の前医の存在を否定するはできません。

いくら診察券や処方箋を持ち出してもそれはその時点で精神科に通院していた証拠にしかならず、それより以前の前医の存在を否定することはできません。初診の病院ではカルテに基づかない「受診状況等証明書」を作成してもらっていますが、これでは前医の存在について証明ができないことから初診日特定には寄与しないことになります。

③ それでも2番目の病院で「受診状況等証明書」が取得できれば問題なかったのですが、そこでも取得できなかったので初診日の特定が厳しくなりました。

精神保健福祉手帳の診断書を見る限り現在通院中の病院は自分の病院が初診と考えていた様子なので、現在の病院を初診で請求しても申請しても問題はないと考えました。しかし、その時に加入していた保険が国民年金だったことと請求時点で就労していた点から障害基礎年金の請求は難しいと考えたので是が非でも厚生年金初診で請求したかった経緯がありました。

 

④ そこで目をつけたのは精神保健福祉手帳の診断書に記載されていた「発病から現在までの経過」の部分で「大学卒業後、就職した後より、対人コミュニケーション等の課題が目立つようになる」と記載されてた部分でした。この医師の記述正しければ発病は大学卒業後、就労した後になります。

この記述と平成2011月~12月にかけて通院していたカルテに基づかない「受診状況等証明書」とそれに付随する処方箋や診察券を参考に、発病から初診にかけては大学卒業後に就職中に発病し初診の病院への通院に至ったと申立書を作成しました。大学卒業は平成183月で初診が平成2011月なので期間がさほど空いていなかったの幸いしました。しかし、このロジックにも一つ大きな穴が有り、大学卒業後すぐに就労したのではなく半年ほど就職が決まらずにアルバイトで生計を立てていた期間があり、その間が初診日と認定されると国民年金になる可能性が有りました。平成184月~平成2011月までの期間が全て厚生年金期間ならすんなり厚生年金の請求で進んだのですが、国民年金期間が平成1810月頃まであったのでそこをどの様に論証していくかがポイントになりました。

⑤ ロジックの構築としては少し無理がありましたが「大学卒業後、就職した後より、」と記載されていたことを活用して大学卒業後の国民年金の期間はアルバイトで就職ではない、就職はあくまでも厚生年金に加入してからであると論理付けしました。事実として大学と同時に仕事が決まらずアルバイトで生計を維持していたとの事だったのでその主張を全面的に採用して病歴就労状況申立書にもしっかり書き込みました。あと、仮に厚生年金初診として認められなくても国民年金初診では審査して欲しいと付け加えました。最悪なのが初診日の特定ができずに不支給なので是が非でもそれは回避したい想いが有りました。

しかし、結果は厚生年金での初診が認められて3級の受給権が発生しました。

終わりに

残りは後日説明します。

 

初診日の特定は複雑です。初診日で悩まれているなら年金を熟知した社労士にご相談ください。