2-4-1 障害認定日時点の診断書がなくても認定日請求ができるケース

認定日請求をするためには、原則、認定日以後3カ月以内の診断書が必要です。その間に病院を受診していない場合は、診断書の作成ができずに認定日請求は行えません。

しかし、例外として以下の場合は認定日請求が可能な場合があります。

 

私も②のケースで2回請求を行い、1度は成功し1度は不支給の結果を得ています。事例は両方とも知的障害のケースです。

成功事例は特別支援高校を卒業し福祉施設利用中に申請したケースです。20歳の時点の認定日請求は行わずに、その後、事後重症請求にて提出した診断書を根拠に遡及請求を行いました。幼少期から療育手帳を保有していた事実はあったので、時期的には2年と接近していたことから無事受給にまでこぎつけることができました。

一方不支給事例は、現在40代後半の方で特別支援高校卒業後、就職して現在まで年金をもらわずに就労していました。事後重症請求に用いた診断書と以前から療育手帳を取得していた証明書を提出しましたがダメでした。不支給理由の確認をすると「診断書がないため」とのことでした。不支給事例のケースは私自身も厳しいとは感じていましたが、可能性がゼロでない以上、追加費用も個人番号で対応できない範囲の所得証明を追加で取得するだけなので費用負担がそれほどかからないことから、本人と相談の上チェレンジしました。

これだけの情報だと両事例の明暗を分けたのは20歳時点から診断書の提出時期の期間の長さです。しかし、この期間の長短で結論が決したという単純な議論ではありません。提出した診断書とそれ以外の他の資料、病歴・就労歴・成育歴等の経過等総合的に判断した結果、20歳当時は2級程度の障害状態に達しなかったという結論です。

不支給のケースは診断書と療育手帳を幼少期から取得していた証明書しか資料が無かったのが問題でした。ただ、知的障害という性質上通院していないのは仕方がないので、知的障害の方は例外的な請求方法を当てにするのではなく、20歳になると病院には必ず通院してください。

 

1-3-2 遡及請求に関して思うところ(補足)

ただ、遡及請求は肌感覚的に遡及請求は難しい様に感じます。

精神系の疾患を例に挙げ、私の経験則の話をします。障害認定日当時一般企業で就労している場合、障害厚生年金3級にも該当しないケースを散見しました。

一般企業で就労中にうつ病等を発症し、障害認定日頃には病状が悪化したが仕事は辞めずに継続できていたケースで、当時は障害年金を知らずにその後、制度を知り遡及請求をした場合などです。

不支給理由としては、一般企業で就労継続できているのという理由から障害等級3級の労働に制限が加わる程度の障害状態にないと判断しています。また、遡及請求の場合は障害認定日当時から現在までの経過も審査対象にしていると感じます。

当時、いくら病状が悪くても結果、現在まで就労継続できているので、問題なしという考えです。

私見としては障害認定日の状態で障害状態を判断すべきなのに、それ以降の話を考慮して審査するのはおかしいと思いますが、この様な審査がなされている事実もあります。

 

なので、遡及請求する際は注意が必要です。理屈的には障害認定日の診断書がとれるなら請求は可能ですが、受給できると最大5年分の年金が支給されますが、ハードルは非常に高いともいます。