【発達障害の障害年金】学生時代の精神科受診があっても「障害厚生年金」の対象になる?~社会的治癒の可能性~

広汎性発達障害(自閉症スペクトラムなど)や大人の発達障害で障害年金の申請を検討されている方から、次のようなご相談をよくいただきます。

「中学生の頃、不登校や自律神経の不調で精神科を受診したことがあります。この場合、初診日は学生時代になり、障害基礎年金しか受給できないのでしょうか?」

発達障害は先天的な脳の機能障害とされているため、過去に少しでも精神科・心療内科の受診歴があると、年金機構から「その過去の受診日が初診日である」と判断されがちです。

初診日が厚生年金加入中か、未加入の学生時代かによって、受給できる年金の種類(障害厚生年金か、障害基礎年金か)が変わり、受け取れる金額や要件(3級の有無など)に大きな差が生じます。

しかし、過去に受診歴があっても、要件を満たせば現在の「厚生年金加入中」を初診日として認めさせ、障害厚生年金を受給できる可能性があります。今回はそのための2つの重要なポイントを解説します。

1. 過去の受診と現在の発達障害は「別の病気」であると証明する

過去に精神科を受診していても、その症状が現在の広汎性発達障害とは直接的な因果関係がない(別の病気である)と証明できれば、過去の受診日は初診日にはなりません。

例えば、中学生の時の受診について以下のような事実があれば、非常に有利な材料となります。

  • 当時、心理検査や発達検査を受けたが「発達障害の基準は満たさない(異常なし)」と明確に診断されていた
  • 当時の診断名は「自律神経失調症」や「思春期特有の一時的な適応障害」にとどまっていた

当時のカルテが残っており、このような記載のある「受診状況等証明書」を取得できれば、「前発の症状と、後発の発達障害には相当因果関係がない」という強力な主張が可能になります。

2. 「社会的治癒」法理を活用する

万が一、当時の症状が発達障害に関連するものと見なされそうな場合でも、「社会的治癒(しゃかいてきちゆ)」という考え方を用いて初診日を現在に引き寄せることができるケースがあります。

発達障害そのものは治癒するものではありませんが、障害年金の実務においては、以下の要件を満たすことで「社会的には一度治癒した」とみなされ、再び症状が悪化して受診した日を「新たな初診日」として扱うルールがあります。

  • 長期間の無治療: 過去の受診が終わってから今回の受診までの間(一般的に5年以上)、精神科等の受診や服薬が一切なかったこと。
  • 一般就労の実績: その空白期間中、会社から障害者としての特別な配慮を受けることなく、健常者と同じように一般就労し、社会生活を送れていたこと。

「就職後の異動や業務過多など、新たな強いストレスが引き金となって二次障害的に適応不全を起こし、受診に至った」という経緯を、客観的な事実とともに申立書でしっかりと説明することが重要です。

専門家のサポートが不可欠な理由:医師への適切な情報提供

発達障害の障害年金申請では、医師に作成していただく「診断書」が審査の行方を大きく左右します。しかし、限られた診察時間の中で、過去の経緯や「長期間無治療で一般就労できていた事実」をご本人から漏れなく正確に伝えるのは非常に困難です。

当事務所では、ご本人への丁寧なヒアリングに基づき、これまでの病歴や就労状況を時系列で整理した「参考資料(医師への依頼状)」を作成いたします。

診断書作成を依頼する際、この資料を医師にお渡しいただくことで、現在の症状だけでなく「過去の受診とは因果関係が薄いこと」や「社会的治癒の要件を満たしていること」が正確に伝わります。これにより、ご本人の実態や年金制度の要件に即した、適切な診断書を作成していただきやすくなります。

障害年金の申請でお悩みなら、まずはご相談ください

「自分のケースは障害厚生年金の対象になるのだろうか?」「過去の受診歴があって初診日の証明が難しそう」とお悩みの方は、一人で抱え込まずにぜひ一度専門家にご相談ください。

あずさ国際年金・労務事務所では、大阪・泉南エリアを中心に、発達障害や精神疾患の障害年金申請を強力にサポートしております。複雑な初診日の問題も、丁寧なヒアリングをもとに最適な解決策をご提案いたします。