【社労士が解説】障害年金の「遡及請求(過去分のもらい忘れ)」が難しい本当の理由とは?

障害年金には、過去に遡って最大5年分の年金を一括で受け取れる「遡及請求(そきゅうせいきゅう)」という制度があります。

しかし、いざ専門家がご相談を伺うと「遡及請求は難しい(できない)ですね…」と判断せざるを得ないケースが非常に多く存在します。

今回は、特に精神疾患以外(身体や内臓の疾患など)で遡及請求が難しくなる「決定的な理由」と、精神疾患におけるよくある落とし穴について解説します。

遡及請求の絶対条件は「認定日当時の状態が証明できること」

遡及請求(正しくは「障害認定日請求」と言います)を行うためには、初診日から1年6ヶ月経過した日=「障害認定日」の時点において、障害等級に該当するほど症状が重かったことを証明しなければなりません。

具体的には、「障害認定日から3ヶ月以内の状態を記載した診断書」が必ず必要になります。

身体・内臓疾患で遡及ができない最大の理由:【検査データがない】

身体障害や内臓疾患(心疾患、腎疾患、がんなど)で遡及請求ができない一番の原因は、「認定日の時期に、障害年金の診断書に必要な『検査』を受けていない」ことです。

例えば、「今は症状が悪化して数値も悪いけれど、初診から1年6ヶ月経った認定日の頃は、通院はしていたものの、そこまで大がかりな検査はしていなかった」というケースは多々あります。

障害年金の診断書(身体・内臓用)は、客観的な数値(血液検査、心電図、レントゲンなどの検査結果)が極めて重視されます。
医師にお願いして過去のカルテをめくってもらっても、「その時期(認定日から3ヶ月以内)の検査データがないため、診断書が書けない」と断られてしまうのです。

検査データがなければ、どんなに当時症状が重かったと本人が主張しても、過去に遡っての請求は認められません。これが、身体・内臓疾患における遡及請求の最も高い壁です。

【参考】精神疾患で遡及できない理由で多いのは?

一方で、うつ病などの精神疾患で遡及請求ができない理由として多いのは、「検査データがない」ことではありません。精神疾患は数値ではなく、問診や生活状況で評価されるためです。

精神疾患で多いのは、「認定日の時期には、障害年金の対象外となる病名(神経症など)がつけられていた」というケースです。

例えば、初診から1年6ヶ月の認定日当時は「適応障害」や「パニック障害」(※これらは原則、障害年金の対象外)と診断されており、数年経ってから「うつ病」と診断名が変わった場合などです。
この場合、認定日時点では対象外の病気だったとみなされ、過去に遡っての請求ができないケースが非常に多いのです。

まとめ:だからこそ「初診日」の特定が最重要

遡及請求ができるかどうかは、「自分の障害認定日(初診日から1年6ヶ月後)がいつなのか」を正確に割り出し、その当時のカルテに「どのような検査結果」や「どのような病名」が残っているかを確認しなければ判断できません。

そのため、何よりもまず「初診日を正確に確定させること」がすべてのスタート地点となります。

「過去分もまとめてもらえるのかな?」「自分のカルテの状況で申請できるのだろうか?」と悩まれた際は、まずはお早めに障害年金の専門家にご相談ください。

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