前回就労中の障害年金受給が厳しいとお話ししましたが、もう少し突っ込んで精神系の障害年金すべてが就労の影響を受けるのかどうかを経験から少し述べさせていただきます。

結論を先に述べると知的障がいは比較的就労には寛容で精神障がいは就労に厳しいように感じます。

知らない人が見たら知的障がいと精神障がい何が違うのと疑問に思われるかと思います。しかし、両者は根本から違います。その違いが就労と年金の関係に影響を与えているのではと推測しています。

精神系の障害年金は大まかに知的障がいと精神障がいの2種類に分かれます。知的障がいは精神遅滞、精神薄弱とも呼ばれていますが、福祉の世界では知的障がい(軽度・中度・重度・最重度)と区分し、療育手帳が発行されます。障害年金の実務では知的障害の区分けも大事ですが、一番重要なのは知的障がいと診断されるかどうかです。というのも、中度知的障がいでも年金受給が不可のケースもありますし、逆に軽度知的障がいで年金受給が可能な場合もあります。なので、この区分より、年金の観点からは日常生活能力の有無が重要です。(むろん、知的障がいの診断でもこの日常生活能力は考慮され判定されますが、手帳の等級より年金の診断書の中身が重要視されます。)

一方、精神障がいはその範囲が広く、うつ病をはじめ、統合失調症、気分障害、双極性障害、神経症、発達障害、高次脳機能障害、アルコール依存、てんかん等多岐にわたります。

私が思う両者の違いは知的障がいが先天的なもので、精神障害が原則後天的な要因で生じる点にあると思います。誤解・ご批判は承知の上で申し上げますと知的障がいは年齢を重ねても能力は一定、精神障がいは年齢を重ねると病状に変化が生じるという視点が厚生労働省の前提にあるので、精神の場合就労していたら厳しく審査されるのと肌感覚で感じています。

具体的には知的障がいは能力に変化が生じずらいので、就労しても日常生活が向上したとみなされない、一方で後天的な精神障がいは病状の変化があるので、就労できるということは病状もそれだけ軽くなった、だから日常生活能力もあがった、よって、年金は不支給になるという流れのように感じます。

私が以前請求したケースで毎月19万の給料と社会保険完備の会社で就労している知的障がい者は障害基礎年金2級が下りたのに、手取りで7-8万円、社保加入のうつ病のかたは障害等級3級程度と診断され障害基礎年金は不支給となったこともありました(年金は受給可能性がある診断書なのに)。

そのため、精神障がいの障害年金の請求の際で就労されている場合は障害厚生年金でないと「厳しいなー」と思いながら手続きをしている自分がいます。

ト。