分かりづらくないですか?上肢の障害 ポイント徹底解説 その①

障害年金を受給したいけど、どの程度の障害なら受給できるのと?と相談に来られる方は多いです。

私も駆け出しの時は障害認定基準とにらめっこしましたが、まったく理解が進みませんでした、()

精神障害は今でこそガイドラインである程度認定基準が具体化されていますが、ガイドライン施行前は認定基準をよく見ても分かりませんでした。

 

障害認定基準をよく見ても理解できないのは障害認定基準が抽象的に表現されているからですが、根本は読み手の医学的な知識不足です。医学的な知識があれば、認定基準を見るとある程度の相場は理解できます。

 ここでは、医学的な知見も踏まえつつ、上肢の障害の認定基準の解説を行います。

身体障害について

3障害の特徴

障害年金では主に3つに分けられます。①身体障害②内疾患③精神障害に分かれます。①身体障害はここで紹介する上肢、下肢、視覚障害等を指します。②内疾患は心臓疾患、腎臓、肝臓、がん、HIV等を指します。③精神障害はうつ病や発達障害、知的障害等を指します。

 

身体障害と内疾患は検査の結果が全てです。一方精神疾患は検査結果という概念が乏しいので医師の主観が物を言います。この医師の主観による部分が精神障害の特徴で難しい点にもなります。身体障害と内疾患は両方とも検査結果が重要ですが、内疾患は医師の主観も入るケースが有りますが、身体障害は特に審査結果オンリーというイメージです。

 肢体障害について

 

肢体障害は①上肢②下肢③肢体④体幹、脊柱の機能の障害4つに分かれます。上肢は主に左右の肩・膝・腕・指の4つを指します。下肢は左右の股関節・膝関節・足関節・指の4つを指します。肢体は上肢下肢にまたぐ障害を指します。例えば、脳梗塞等で上肢下肢にまたぐ障害が残る場合は、肢体障害の認定基準で障害認定がなされます。

上肢・下肢と肢体障害の違いは障害が上肢・下肢等の広範囲に分かる障害の場合(脳血管障害、進行性筋ジストロフィー等)で、脳梗塞でも上肢だけに障害が残る場合は上肢障害として処理する形になります。あくまでもケガ、病気により上肢下肢にまたぐ障害が残った場合は肢体障害で処理するという事です。

上肢の障害について

障害年金の特徴は病名で診断書が決まるのではなく、ケガ・病気により障害が残った部位の診断書を用いて請求する点です。なので、この病気だから上肢の診断書で請求したらダメというものではなく、上肢に障害が残るから上肢の診断書を用いて請求するというイメージです。

そのため、請求する際には病名とどの部分に障害が残っているのかきちんとヒアリングしないと使用する診断書を間違えることになります。上肢、下肢と肢体障害の違いは上肢下肢では検査結果が重要ですが、肢体障害は検査結果も参考にされますが「日常生活における動作の障害の程度」が重要になります。認定基準も上肢下肢と肢体障害でがらりと違うのでヒアリングのしくじりは年金受給を左右する結果に繋がります。

 検査結果とは?

 

肢体障害の検査結果は下記診断書の項目に記載される結果です。

 

ここは、医師や理学療法士が検査した結果が記載されます。上肢・下肢障害の場合は個々の数値が重要です。

上肢障害の認定方法

 上肢障害は①欠損障害②機能障害③変形障害の3つに分ける事ができます。欠損障害は切断により部位が無く、それにより日常生活がこなせないことを指します。変形障害は変形により日常生活機能を有さない場合を指します。では機能障害は何を指すでしょうか?

機能障害で参考になる記述が指に関してですが認定要領にあります。

 

ポイントは下記の「指があってもそれがないのとほとんど同程度の機能障害があるものを いう。」の部分で外形上は異常が無く見えても、実際にその器官としての機能を満たさない状態を機能障害と言います。例えば、腕は有るがその腕を全く上げることができないケース、指はついているが指が動かず物をつまめない、動くが力が入らないので物をつまめないケースが該当します。

欠損障害は分かり易いと思います。上肢障害でポイントになるのは機能障害を理解できるかどうかにかかってきます。

欠損障害の認定基準

1級の認定基準

欠損障害に該当するのが下記になります。

1級の欠損障害は両指を根元から切断し、離団した状態を指します。有効長が0とは根元から切断された状態を指します。

 2級の欠損障害の障害認定基準

その中で欠損障害は以下になります。

 1上肢のすべての指を欠く場合、つまり根元から切断し、離団した状態なら2級になります。1級は左右の指で2級は左右どちらかの指が全て欠く場合は対象になります。1級は左右両方、2級は片方どちらかで認定されると覚えてください。その考えは下肢でも使用できます。

また左右どちらかの指が全てない場合でも左右の指の中で、親指か人差し指どちらかと中指の2本の指を左右で欠く場合は2級になります。

皆さんも自分の手で親指と中指ないイメージを想定してみてください。物は掴めないし、日常生活が非常に不便になると思います。上肢の障害を考えると親指の重要性が分かるとよい機会になります。

 

ここまで2級までの欠損障害の例を説明しました。次回以降で機能障害などを説明していきます。

 

終わりに

  ややこしい肢体障害ですが、如何でしたか?少し補足を加える事で理解が進んだ感じがしませんか?

障害年金は医学的な視点は切っても切り離せない関係にありますが、少しでも医学の事が分かると理解が進みます。障害年金を志そうとする方は医学書を手元に分からないことが有れば調べれる状態にしておけばよいですね。