就労中・一人暮らしの軽度知的障害者、20歳前の障害基礎年金更新可能か?

  先日、20歳前の障害基礎年金の更新手続きを郵送で完了させました。初回の申請も私が代行して2年経過後の更新の段階で再度お仕事を頂きました。

 

障害年金の更新

有期認定と無期認定

障害年金は老齢年金と違い終わりがあります。障害年金は一定の障害状態にある場合の所得補償制度なので、当然ながらその障害状態から外れると年金は止まります。その障害年金が停止するかどうかのタイミングが更新という事になります。

原則的に障害年金は有期認定ですが、身体障害の例えば肢体切断等は無期認定となります。要は障害に永続性があるかどうかで有期か無期か判断されます。そのため、変化が生じやすい精神障害は有期認定の代表格です。しかし、その精神系の障害でも以前私が代行したケースで知的障害でも無期認定が下りたことも有ります。これは、知的に対する制約が一定程度継続するであろう障害の特性と年齢的な要素が絡み合った結果であると考えます。

因みに有期認定は1年から5年の間で決まります。知的障害の場合、初回は経験的には3年が多く、長いケースは5年もよくあります。

 

本事例の認定期間

 本事例では初回の請求の障害名は軽度知的障害と広汎性発達障害で行い、状況は家族と同居、請求時無職の状態でした。結果は障害基礎年金2級が2年継続(2年有期)という結果でした。

私の経験的に知的障害が絡んで認定期間が2年というのは若干短い様に感じましたが、年齢がまだ20代と若かったのと職歴もあったのも影響を与えているのかと感じました。

 

障害年金更新の注意点

障害年金は更新のタイミングの状態で年金の更新の可否が決まります。なので、更新前に年金が打ち切りになるという事はありません。そのため、否が応でも更新のハードルは高まります。

私が更新時に注意しているのは初回の申請時と状況が変化している場合です。人間なので変化がない事はありえないですが、更新でみられるポイントは以下の点です。それ以外の点で変化が有っても更新には影響は少ないかなとは思います。

① 仕事の状況

申請時と比較して状況に変化が有るなら、等級変動する可能性があります。2級の障害年金は日常生活能力の有無で判断されるので、就労することにより日常生活能力が向上したと考えられる可能性があるからです。

その様に捉えられない様にするためには、就労しているが日常生活は向上していないと論理的に説明していかなくてはなりません。

本事例においては仕事の内容、職場での配慮事項、仕事場での様子等を本人からヒアリングし別紙資料として診断書と共に提出しました。本来なら診断書に記載して貰うのがベストでしょうが、スペースに限りがあるので仕方のない措置です。

話を聞いていくと、宝の山で診断書に記載がない色々な情報を収取できました。例えば仕事場での些細な変化で精神的にイライラしてくるので、そのイライラに周囲が気付くとフォローしてくれるとの事で、その情報は診断書に記載がありません。地味ですが本人から話を聞くというのは非常に重要な作業になります。

② 同居者の有無

障害年金は日常生活能力の有無で判断されるので、一人暮らしをしている事実があるとそれで日常生活能力があるとみなされる場合があります。理不尽な判断かもしれませんが、行政の理屈も分からないことはありません。

では、一人暮らしをしていたら必ず日常生活能力があるので年金不支給になるのでしょうか?健常者なら一人暮らしをしている、能力があるとみなされても仕方ない部分があると思いますが、障害者手帳保有者等が一人暮らしをする場合、一人暮らしはできているが、中身が全く伴っていないケース(食事はとれず、部屋はめちゃくちゃ)はよく見聞きします。少なくともこの様な状態は日常生活能力が有る状態には当てはまらないのでないでしょうか?

私の経験的には一人暮らしをしている理由で年金が不支給になったことはありません。しかし、その可能性はあるのでそうならないために日常生活の状況を丁寧にヒアリングし診断書に落とし込んでもらったり、別紙として提出したりします。必要があれば、ヘルパー利用などもしてもらいます。(現実的に日常生活がおくれない障害者が多い中、年金を機会に利用してもらいます。)

本事例では、母親がヘルパーさんの役割を担う形で生活面のサポートをしていたのでそれを別紙として提出しました。

 

 最後に

本事例は、請求時は無職・家族と同居で更新時は有職・独居という生活スタイルが180度変化した事例でした。しかし、仕事は障害者雇用で、将来の為に一人暮らしの練習をしている状況で年金更新が認められないと厳しいと感じます。私としてはやることはやったので、後は結果を待つだけです。

更新を結構軽視されている方はいますが、状況に変化がある場合はそれにきちんと対応しないと年金継続も厳しい場合もあります。更新でお困りなら是非ご相談ください。