②職務の内容・配置の変更の範囲について
将来の見込みを含め、転勤・昇進といった人事異動や本人の役割の変化等(配置の変更を伴わない職務の内容の変更を含む。)の有無や範囲の事を言います。例えば転勤の有無、職種変更の可能性、職場変更の可能性等がそれに該当します。よくあるのが正社員は全国転勤、職種変更等があるが、短時間・有期契約労働者はその店舗でその職種で採用されるケースです。この場合たとえ正社員と同じ職種であったとしても②職務の内容・配置の変更の範囲が異なることになるので「職務の内容等」が違うとなります。この場合均衡待遇の話になります。
③ その他の事情
① 業務の内容 ② 職務の内容・配置の変更の範囲以外の事情で、個々の状況に合わせて、その都度検討していく項目です。具体的には成果、能力、経験、労使交渉の経緯、労使慣行などが考えられます。メトロコマース事件では正社員転換制度の存在が正社員と短時間・有期契約労働者との待遇格差の不合理性を緩和する方向で作用しています。つまり、短時間・有期契約労働者も正社員になるチャンスが確保され、それなりに正社員登用の実績があることから短時間・有期契約労働者の身分が固定化されていない判断されその他の事情で考慮されたものであると考えます。また長澤運輸事件では嘱託社員が定年退職後再雇用である事実や嘱託社員の給料が労使交渉を経て決定された事実をその他の事情として考量していました。