「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善に関する法律」

 第9条 均等待遇に関して

 第9条の均等待遇規定は正社員との比較で①業務の内容②職務の内容・配置の変更の範囲が全く同じの場合は短時間・有期雇用労働者であることを理由に差別的な取り扱いを禁止する旨の規定です。つまり、正社員と職務の内容、配置の変更の範囲が全く同じの有期契約社員がいるならばその社員の労働条件は正社員と同じでなければならなくなります。正社員と短時間有期社員等が同じ仕事をする様な業態は注意が必要です。知らぬ前に①業務の内容②職務の内容・配置の変更の範囲が同じように労務管理されているなら同じように管理されるようになった時から均等待遇が求められることになります。紛争になれば均等になった時から正社員との差額賃金の支払いが求められることになります。

 8条との違いは③その他の事情が一切考慮されずに均等待遇が審査される点です。中小企業の定年退職みたいに定年後も同じ職種同じ待遇で就労するケースなど注意が必要です。定年制は年齢という期間で区切った労働者の退職制度ですが、定年を迎えることで一度労働契約を終了させ定年後嘱託などの身分で新たに労働契約を結びなおすことで賃金等の労働条件を一新できる点に会社はメリットがあります。

 労働者も60歳から年金が受給できた時代は賃金が高ければ年金が支給停止になる点で定年退職後の賃金減少は抵抗なく受け入れられてきた部分はありますが、年金支給も65歳に引き上げられていく中で定年退職後、責任・職種・役職に変化が無いのに賃金だけ一方的に下げることに抵抗を示す場面は多くなると予想できますし、この9条はそうした労働者の大きな追い風になる規定だと思います。
 9条の均等待遇のチェックの際には③その他の事情(定年退職)が考慮されないので、定年前後で責任・職種・役割に変化なく賃金だけが大幅に低下する場合はこの均等待遇に引っかかる可能性があります。そのため、定年退職後は職種変更・責任緩和・役職定年等の対応を講じる必要があります。

 8条と9条の役役割分担
 実務上8条と9条のチェックは条文上の順番は逆ですがまず第9条の均等待遇のチェックから入ります。つまり、①業務の内容②職務の内容・配置の変更の範囲が両方とも同じなら均等待遇で処遇され、どちらかが違う、又は両方異なるとなれば第8条の均衡待遇のチェックを行います。その際に③その他の事情も考慮され正規非正規間の不合理な待遇差が無いかチェックされます。
 このチェック方法は最高裁でも確立したようなので当面はこのような形での不合理性のチェックが行われるようになると思われます。

 9条が問題になるケースで考えられるのは、正社員と非正規社員が混在して就労する現場です。たと介護施設や小売業など正社員と契約社員が同じような仕事をしているケースがあるのではないでしょうか?

 

以下条文になります。

8条 事業主は、その雇用する短時間有期社員等の基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、当該待遇に対応する通常の労働者の待遇との間において、短時間有期社員等及び正社員の①業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下「職務の内容」という。)、②当該職務の内容及び配置の変更の範囲 ③その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならない。

 

9条 事業主は、職務の内容が正社員と同一の短時間有期社員等(第十一条第一項において「職務内容同一短時間・有期雇用労働者」という。)であって、当該事業所における慣行その他の事情からみて、当該事業主との雇用関係が終了するまでの全期間において、①その職務の内容及び配置が当該②通常の労働者の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されることが見込まれるもの(次条及び同項において「通常の労働者と同視すべき短時間・有期雇用労働者」という。)については、短時間有期社員等であることを理由として、基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、差別的取扱いをしてはならない。

 

8条と9条の違いは③その他の事情の有無である。