【障害年金】知的障害で受給するための条件やポイントを社労士が解説
「子どもが知的障害を持っているけれど、将来の生活費が不安…」
「療育手帳を持っている場合、障害年金はもらえるの?」
知的障害(精神遅滞)は、障害年金(障害基礎年金)の受給対象となります。親御さんにとって、お子様の将来の生活基盤や「親なきあと」の経済的な不安を少しでも軽減するために、障害年金は非常に重要な制度です。
しかし、うつ病などの精神疾患や身体障害とは手続きのルールが異なる部分が多く、ご家族だけで進めるには負担が大きいケースも少なくありません。今回は、知的障害で障害年金を請求する際に知っておくべき特有のルールと、受給を成功させるための重要なポイントを詳しく解説します。
知的障害における障害年金「3つの特例ルール」
知的障害を理由とする障害年金の手続きには、他の傷病にはない3つの大きな特徴があります。
1. 「初診日の証明」が原則不要
通常の障害年金では、初めて病院を受診した日(初診日)をカルテなどで証明する高いハードルがあります。しかし、知的障害は「先天性の疾患(生まれつきのもの)」として扱われるため、初診日は「生まれた日(出生日)」とみなされます。
そのため、過去の古いカルテを探したり、初診日の証明書(受診状況等証明書)を病院に書いてもらったりする手間が原則としてかかりません。
2. 請求できるのは「20歳」になってから
初診日が生まれた日となるため、知的障害による障害年金は「20歳前傷病による障害基礎年金」という扱いになります。
実際に年金の請求手続きができるようになるのは「20歳の誕生日の前日」以降です。ただし、準備は早くから始めることが可能です。具体的には、20歳になる3ヶ月前(19歳9ヶ月頃)から年金事務所で必要書類を受け取り、診断書の作成準備を進めるのが最もスムーズな流れです。
3. ご本人の「所得制限」がある
20歳前傷病による障害基礎年金は、ご自身で年金保険料を納付していない期間に発生した障害に対する特別な年金です。そのため、例外的に「受給するご本人に一定以上の収入(所得)がある場合、年金が全額または半額支給停止になる」という制限が設けられています。
※あくまで「ご本人の所得」が対象であり、同居している親御さんやご家族の所得は影響しませんのでご安心ください。
よくある疑問:働きながらでも受給できる?
ご家族からよくいただく質問の一つに「障害者枠や就労支援施設で働いていると、障害年金はもらえませんか?」というものがあります。
結論から言うと、働きながらでも障害年金を受給できる可能性はありますが、働き方や「受けている配慮の内容」が厳しく審査されます。
- 就労継続支援A型・B型、移行支援など:
福祉的な就労を利用しているからといって、無条件で受給できるわけではありません。過去にはB型事業所の利用であっても「一定の就労能力がある」と判断され、不支給となったケースも存在します。重要なのは、「施設でどのような特別な配慮を受けているか」「スタッフの援助や声掛けなしでは作業が成り立たないこと」などを、申立書等でしっかり伝えることです。 - 障害者雇用枠(一般企業):
企業側からどのような配慮を受けているか(例:複雑な作業は免除されている、指導員がついている、遅刻や早退が配慮されている等)が審査のポイントになります。「働いている=即不支給」ではありませんが、職場での援助の実態を正確に申告することが必須です。
審査の鍵を握る「病歴・就労状況等申立書」
知的障害の手続きで最も苦労するのが、ご家族が作成する「病歴・就労状況等申立書」です。
知的障害の場合、初診日が「出生日」となるため、この申立書には「生まれてから現在(20歳以上)に至るまでの日常生活の状況や、学校での様子、困りごと」を3〜5年ごとに区切って、すべて詳しく記載しなければなりません。例えば、以下のような具体的なエピソードを盛り込みます。
- 幼少期〜小学校: 言葉の遅れ、特別支援学級の利用、一人で登下校ができなかったエピソードなど。
- 中学校〜高校: いじめや対人関係での苦労、学習面での極端な遅れ、先生からの特別な配慮など。
- 現在(日常生活): 「お風呂や歯磨きを声掛けしないとできない」「お金の計算ができず一人で買い物に行けない」「予想外のことが起きるとパニックになる」といった、家族の援助が必要な具体的な状況。
これらのエピソードを整理し、医師の作成する「診断書」の内容と矛盾がないようにまとめ上げる作業は、ご家族にとって大変な労力となります。
療育手帳の判定と障害年金の等級は違う?
「療育手帳がB2判定(軽度)だから、障害年金はもらえないだろう…」と諦めてしまう方がいらっしゃいますが、これは誤解です。
療育手帳の判定基準やIQ(知能指数)は自治体によって異なりますが、障害年金の審査は国(日本年金機構)の全国一律の基準で行われます。障害年金で最も重視されるのは、IQの数値そのものよりも「日常生活能力(どれくらい周囲のサポートが必要か)」です。
手帳の等級が低かったり、そもそも療育手帳を持っていなかったりする場合でも、現在の日常生活における困難さがしっかりと診断書や申立書で伝われば、障害年金(2級以上)を受給できる可能性は十分にあります。
専門家からのアドバイス
知的障害の障害年金申請は、ご本人やご家族が「できていないこと・困っていること」を改めて客観的に見つめ直し、文章にして国に伝えるという、精神的にも負担のかかる作業です。
特に、医師に日常生活の実際の様子を正しく伝えて適切な診断書を書いてもらうことや、生まれてからの20年間をまとめる申立書の作成は、専門的なノウハウが結果を大きく左右します。「もう少し早く相談しておけばよかった」と後悔されるご家族も少なくありません。
あずさ国際年金・労務事務所では、大阪・泉南地域を中心に、知的障害をお持ちの方の障害年金申請を数多くサポートしてまいりました。20歳を迎えられる前のご相談(19歳頃からの準備)や、過去に不支給になってしまった方のご相談も承っております。ご家族の負担を少しでも減らすためのお手伝いをいたしますので、まずは無料相談をご利用ください。
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