精神科以外の科を受診した際に初診日として認定されるか?
初診日(障害年金上)の重要性は前回説明しましたが、復習もかねて少し説明します。
初診日が確定することで①請求できる年金が決まる②初診日を基準に障害認定日が決まる。③初診日を基準に保険料納付要件が決まる の3つの効果が生じます。
今回は精神系の障害年金を請求する際に初診が精神科以外の病院の場合でも精神系の疾患の初診日として認められるか事例を交えて説明します。
精神科以外の科が初診日なるケース
お腹が痛いと内科に行く、目が見づらいから眼科に行く等、多くの人は気になる箇所に対応する科がある病院に通院します。お腹が痛くて、「これは統合失調症の前駆症状である」と考えて精神科に行くことはまずないでしょう。これから分かるように障害年金で請求する障害と初診の病院が違う場合はよくあります。
これをもう少し俯瞰して考えると、最後に精神疾患という事実があるから初診の腹痛が精神疾患との前駆症状と認められるのです。もし、最後に精神疾患という事実が無くて単に腹痛だけなら精神疾患の初診日とは認められません。これからわかるよにもし、腹痛で内科に受診したことを初診とするならば腹痛と精神疾患との間で連続性が無いと認められません。精神科にかかる前にたまたま内科にかかっていたからそこを初診日にしたいと言っても認められない可能性が高いでしょう。なぜなら内科と精神科に連続性が確認できないからです。
連続性について
連続性は私が考えたイメージを言語化したものです。要は精神疾患の前駆症状の一部というイメージです。これは障害年金で重要になる相当因果関係とは違う考えと理解しています。
相当因果関係は前の疾病又は負傷から後の疾病が相当程度発生する場合に認められるものですが、頭痛や腹痛があるから精神疾患になる可能性が高いとは言えません。頭痛や腹痛は後に発生した精神疾患の前触れと理解することで、頭痛等と精神疾患は連続性があり、それらの症状は精神疾患の前触れであると考えることでイメージしやすいと思います。
実務上の精神科以外の診療科の扱い
実務的にどのような場合に精神科以外の診療科が精神疾患の初診として認められるのでしょうか?
具体的な定義は決まっていませんが、①他診療科受診時の診断②治療の内容③本人の訴え④その後の受診経過⑤総合的に見た主治医の判断これらを満たすことで精神科以外が初診日として認定されると考えます。
初診日は受診状況等証明書で証明しますが、上記①に関してはこの受診状況等証明書で証明していきます。ここでの記載方法がポイントで、精神疾患を疑うような記述が記載されているか?、または精神科への転院を進めたか?等があればそこが初診日として認められる可能性は高まります。逆にこれら記述が無いと精神疾患との連続性が認められ辛いかと思います。
④も重要です。たとえばピンポイント的に1度だけ内科を受診し、その後病院に受診する期間が全くない場合内科を初診日としては認めづらいと考えます。理由は通院していないからです。通院が見られない以上、健康であると考えられます。
あとは、主治医の診断書に「内科に通院していた旨の記述があり」、「内科を初診日とする」診断書があれば証明力は高まると思います。
まとめ
理屈上は精神系の障害年金の初診日に精神科以外の科でも初診日になりうる可能性はありますが、上記の様な条件をクリアし、内科での受診理由と精神疾患の間で何らかの連続性がないと認められる可能性は低いと考えます。精神科以外の科が関係してくる場合、相談の初期段階ではどこが初診日とは明確に分かりません。受診状況等証明書を取得したりカルテ開示したりすることで初めてその科での診療内容が分かり、そこから精神疾患にどの様につながるか考えていく必要があります。
この事例は私が以前申請したケースで初診が内科の場合です。治療内容及び経過の部分で「精神科を促す」旨の記述があることからこの内科が初診と認められました。