休職中の所得補償!傷病手当金知っていますか?

業務上のケガで就労不能の場合は労災から休業補償給付が支給されます。

では業務外でケガをして就労不能に陥った場合は何か給付が有るのでしょうか?

業務外のケガで就労不能に陥った場合は健康保険から傷病手当金が支給されます。

 因みに健康保険に加入していないと傷病手当は受給できません。雇用保険のみでは受給できないのでご注意ください。

傷病手当金の支給要件

① 3日の待期期間を経過する。(連続3日の欠勤)

3日の欠勤は有給処理でも公休でも欠勤でも構いません。欠勤が元々の休日であっても問題はありません。

② 欠勤は業務外の事由が原因で、かつその間医師から就労不能の証明が得られること。もし、就労可能と診断書に記載されると当然ながら受給はできません。

業務災害の場合は労災から休業補償が支給されます。またいくら休業してもその休業が自己判断で行われる場合は傷病手当金が受給できないケースもあります。傷病手当金はあくまでも就労不能の際の所得補償です。

 

給付額

 

支給開始日を含む月以前12か月の各月の標準報酬月額を平均した額を30日で割った金額の2/3です。⇒ざっくりと給料の2/3のイメージです。

 

支給期間

支給開始日から16か月の間、労働不能が有った日に支給されます。

16か月間すべて欠勤していればその間、傷病手当金が支給されることになります。

 

傷病手当金の申請のタイミングは自由です。まとめて申請でもOKですし、給料感覚で受給したいなら会社の給料締日と同じタイミングで申請していく方法が有ります。当然ながら毎月申請するならその分診断書料がかかってきますので、まとめて申請するケースもあります。

 

よくある勘違い

 

 3日の待期期間が完了して傷病手当金を受給し始めると、その傷病に関して、16か月の間は支給要件に該当する限り傷病手当金を受給し続けれます。

例えばうつ病にかかり半年ほど会社を休職した場合、その半年間は当然ながら傷病手当金は支給されます。その後復職し半年ほど仕事に従事していたが、うつ病が再発し再度休職した場合、残り半年間は傷病手当金を受給することが可能です。これは、支給開始日から16か月経過していないからです。逆に考えると同一傷病では支給開始日から16か月経過すると傷病手当金は受給できなくなります。上記例で復職後1年間は働けていたがその後うつ病が悪化して再度休職となった場合、傷病手当金は受給できない可能性が有ります。理由は支給開始日から16か月経過しているからです。

受給できない可能性があるとしたのは、同じ傷病の場合はカウントされるからです。例えば初めはうつ病だが、後の傷病が双極性障害等の場合、同じ精神疾患ですが病名が異なります。同一傷病の場合は通算され、別傷病の場合は通算されないので精神疾患の場合同一傷病かどうかが一つの論点になります。

 

社会的治癒

では一度かかった病気は16か月経過したら二度と傷病手当金を受給できないのでしょうか?がん等長期間経過後に再発する様な傷病に対して傷病手当金が機能しなくなります。そこで、法は社会的治癒という概念をさだめています。社会的治癒は障害年金でも存在する概念で医学的に治癒していないが社会的に考えると治癒していると考える概念です。

例えば胃がんで休職し16か月間傷病手当金を受給していた。その後胃がんが寛解し通常の仕事をこなしていたが、再度胃がんの状況が悪くなった例を考えます。寛解状態なので治癒はしていません。また再発したとしても胃がんは同一傷病なので再度の傷病手当金は受給できません。しかし、それは酷なので社会的治癒という概念で被保険者の救済が試みられました。復職し仕事にきちんと従事しており、完治まではいかないが社会的にみれば完治している様な状況で過ごせていたという点が社会的治癒として評価されます。

社会的治癒の要件

行政的に明確に定義が決まっているわけではありませんが、以下の要件が挙げられます。

① 日常生活が送れている(仕事ができている)

② 投薬が必要な期間が数年単位で継続している

上記はあくまでも例なので、審査はあくまでも保険者が行うのでそこの判断に従う形になります。ただ、ローカルルールなどがあるので、申請してみないと分からない部分はあるかと思います。

 

傷病手当金の16か月が経過すると?

 

傷病手当金を貰い始めて16か月経過すると傷病手当金は支給停止になります。もし、それ以降も就労不能が継続する場合は障害年金の申請をすることになります。自動的に切り替えられないので注意が必要です。途切れなく給付金を受け取ろうとする場合は傷病手当金受給中に障害年金の手続きをしていかないといけません。傷病手当金は診断書1枚で受給できましたが障害年金は診断書のほかにも病歴就労状況申立書など色々な書類をそろえる必要があります。また診断書も傷病手当の診断書より詳細が求められる内容になるので注意が必要です。

もし、現在傷病手当金を受給中で障害年金をご検討の場合は是非ご連絡ください。相談者様には負担をかけずにスピード感をもって手続きを進めていきます