パート無期転換でも助成金28.5万円 キャリアアップ助成金

有期契約社員を正社員にすると57万円というのは多く知られていると思いますが、キャリアアップ助成金(正社員コース)は正社員にするだけでなく、有期契約社員を無期契約社員に切り替えるだけでも助成金が受給できます。

 

コースの紹介

① 有期契約社員⇒正社員    57.0万円

 

② 有期契約社員⇒無期契約社員 28.5万円

 

③ 無期契約社員⇒正社員    28.5万円

 

①は有名なコースで有期社員を正社員にするコースです。

今日紹介するのは②と③のコースです。

 

有期契約社員と無期契約社員とは?

  正社員と聞けばイメージが湧くと思いますが、法律に正社員の定義があるわけではありません。正社員の定義は会社毎に独自に設定しているというのが正しい理解になります。

以下は正社員と呼ばれる従業員に当てはまる要件です。

① フルタイム ② 無期雇用(長期雇用が前提) ③ 会社の中心的な業務を担う

④ 教育訓練制度がある ⑤ 賞与がある ⑥ 退職金がある

上記を満たす従業員は正社員と考えることができます。無論全て満たす必要はなく零細企業なら①②③程度でも正社員と定義している会社は沢山あります。

 

正社員を定義することで有期契約社員や無期契約社員は正社員以外の雇用形態を考えることができます。例えば有期契約社員は①契約期間が有期②労働時間はフルタイムより短いか又は同程度 ③会社の中心的な業務は担わない ④ 教育訓練制度無し⑤賞与なし⑥退職金なしと定義づけが可能です。また無期契約社員は①契約期間は無期だが、正社員の様な会社の中心的な業務は担わないと定義付することも可能です。

正社員・有期契約社員・無期契約社員と初めて聞くと違いが分かりませんが、初めに正社員を定義付して、正社員以外を有期契約社員・無期契約社員とし、その中で有期契約社員と無期契約社員との違いを明確化すれば整理できます。有期契約社員・無期契約社員との一番の大きな違いは契約期間が有期か無期かです。

 

② 有期契約社員⇒無期契約社員 28.5万円

無期契約社員転換後は雇保に加入する必要はありますが、有期契約社員の時点で雇保に加入していた場合、無期契約社員転換後労働時間を増やす必要はありません。労働時間は現状維持で助成金の申請が可能になります。

しかし、賃金アップの3%が必要になります。

③ 無期契約社員⇒正社員    28.5万円

無期契約社員を正社員に転換します。つまり、正社員の就業規則が適用される=正社員の労働条件が適用されることを意味します。正社員の労働時間がフルタイムならフルタイム働く形になります。

このコースでよく労働局から指摘を受けるのが、無期⇒正社員になって何が変わるのかです。例えば短時間の無期契約社員がフルタイムの正社員になれば労働時間が変わります。この変化で待遇差が理解できますが、フルタイムの無期契約社員がフルタイムの正社員になる場合、何が変わるのか指摘を受ける可能性が有ります。正社員に賞与や退職金などが支給される場合はそこで待遇差の確認がなされますが、特に目立った変化が無い場合は注意が必要です。この点は支給要領やパンフレットには記載されていません。

 

有期契約社員⇒無期契約社員へ転換する際の利点

 

このコースの一番の利点は残業代で悩まされない点です。助成金全般に言える事ですが、未払い残業は労働局も厳しく審査しています。多くの会社で正社員に残業が課せられています。その際の残業代がきちんと支払われていないと助成金の受給が認められないケースが有ります。一方正社員と比較すると有期契約社員等は残業するケースは多くないと思います。となると、未払い残業の可能性も低くなるので、助成金自体の申請はスムースに進めることが可能です。

 

最後に

 

手続の流れは正社員コースと同じです。

キャリアアップ助成金も簡単そうですが、ポイントが多く落とし穴もあります。

確実な助成金の受給を希望されるならぜひ社労士にご相談ください。