統合失調症で障害認定日時点で一般就労中、かつ精神保健福祉手帳3級でも障害基礎年金2級決定事例

 統合失調症で障害認定日時点就労中、かつ精神保健福祉手帳3級にも関わらず

6月に申請していた障害基礎年金の結果が出て、無事2級の遡及請求が決定しました。

請求障害は統合失調症です。

 

相談への経緯、方向性について

 

就労移行支援事業所からの紹介で当事務所に繋がりました。現在就労移行支援事業所しているが、障害年金の請求を単独で進めているが請求方法が分からないとのことなので早速相談に入りました。

話を聞いていくと診断書は完成していたので、その中身を確認すると認定日時点、事後重症時点双方で3級相当で初診が20歳前だったのでほぼ両方で不支給の可能性が高い状況でした。

 

なので、依頼者の日常生活状況の再確認が必要になる状況でした。

丁寧に依頼者の日常生活の状況をヒアリングして修正後の診断書が下記の内容になります。

 

 

依頼者の状況整理

請求障害:統合失調症

依頼者は20代、家族と同居状態、向精神薬服用。

障害認定日時点は就労中

(就職して1か月の状態。しかし、5か月経過時点で病状悪化により退職)

事後重症時点は無職(就労移行支援事業所利用)

初診日の病院が診断書作成病院

 障害認定日の診断書の状況

2 日常生活能力の判定

1) 適切な食事          3

2) 身辺の清潔保持        3

3) 金銭管理と買い物       3

4) 通院と服薬(要)       3

5) 他人との意思伝達及び対人関係 3

6) 身辺の安全保持及び危機対応  3

(7) 社会性            3点

判定平均    3.0

3 日常生活能力の程度

精神障害    4

 

 

事後重症請求の診断書の状況

 

2 日常生活能力の判定

1) 適切な食事          3

2) 身辺の清潔保持        3

3) 金銭管理と買い物       3

4) 通院と服薬(要)       3

5) 他人との意思伝達及び対人関係 3

6) 身辺の安全保持及び危機対応  3

(7) 社会性            3点

判定平均    3.0

 

3 日常生活能力の程度

精神障害    4

 

 

障害等級目安への当てはめ

 

先の述べた日常生活能力の判定と日常生活能力の程度の関係は障害等級目安に当てはめると障害認定日と事後重症時点共に2級相当でした。

 

判定平均3.0と日常生活能力の程度(精神障害)4は2級と障害等級目安ではなっています。

 

あくまでも目安なのでそれには拘束されませんが、それなりの拘束力があると私は考えています。例えば2級相当の状態で就労状況、生活状況などを加味して3級と認定される可能性はありますが、2級又は3級、あるいは3級の目安の状況で2級に認定される可能性は私の感覚的には無いかなと考えています。

 

論点 障害認定日時点の就労に関して

 

精神系、特に統合失調症やうつ病の精神疾患と呼ばれる傷病と就労との相性は悪いと私は考えます。

障害認定基準には、「現に仕事に従事している者については、労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、その療養状況を考慮するとともに、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況等を十分確認したうえで日常生活能力を判断すること。」と記載されてはいますが、どこまで考慮して審査してくれるか未知数ですし、そもそも障害等級2級の目安が「家庭内の極めて温和な活動(軽食作り、下着程度の洗濯等)はできるが、それ以上の活動はできないもの又は行ってはいけないもの、すなわち、病院内の生活 でいえば、活動の範囲がおおむね病棟内に限られるものであり、家庭内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね家屋内に限られるものである。」と規定され就労を想定していないからです。

 

 ① 仕事の内容、配慮事項などを詳細にヒアリング

障害認定基準に、「仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況等を十分確認したうえで日常生活能力を判断すること」とある以上、どのような仕事に従事して、どのような雇用形態でいくらの給料をもらい、職場で何かしらの配慮を受けているのか?それらはヒアリングして診断書に落とし込んでもらうべきだと思います。診断書に落とし込めない場合が別紙で提出するのも可です。

 

 ② 今回障害認定日で障害年金を受給出来た理由

障害認定日時点では一般就労だったので正直厳しいと思いましたが受給に至りました。理由の一つとして考えるのは比較的短期間で離職していたことです。4月に新卒として入社して、その間も病気に悩まされ9月には退職したことから約5か月の雇用期間だったというのも大きいかなと思います。もし、1年以上就労していたなら結果も変わっていたかもしれません。

まとめ

この事例は目安は2級でしたが一般就労していたという点が論点でした。何が要因で受給に至ったのかは正直分かりませんが、一般就労している(就労していた)精神疾患患者でも障害年金2級が下りる可能性があることを証明できたよい事例だったと考えます。

もし一般就労している精神疾患患者が障害年金を検討する場合、ポイントは就労になるのでそこをどれだけ整理できるかがポイントになると思います。無論障害等級の目安は2級か3級相当である必要はありますが。