健康保険の任意継続の意外と知らない手続き方法解説します。

健康保険証の任意継続とは何?

   病院に通院する際に使用する保険証はサラリーマン用の健康保険と自営業、無職等用の国民健康保険に分かれます。通常サラリーマンを辞め、自営業を始めると健康保険証から国民健康保険証に変わりますが、サラリーマン時代の健康保険証を継続して使用したい場合に活用するのが健康保険の任意継続になります。なんで?任意継続したいの?国保でよいのでは?と疑問に思う方も多いと思いますが、意外と任意継続するニーズは多いです。

任意継続の要件

① 資格喪失日までに健康保険の被保険者期間が継続して2ヵ月以上あること。

② 資格喪失日(退職日の翌日等)から20日(20日目が土日・祝日の場合は翌営業日)以内に「任意継続被保険者資格取得申出書」を提出すること。

要件的はシンプルでこの2要件です。これを満たすなら申請が可能です。

 

申請に必要な資料

① 健康保険任意継続被保険者資格取得申出書

② 扶養者に関しての添付書類(所得証明など)

もし、扶養者がいる場合は所得証明等の添付書類が必要です。以下の書類を参考にしてください。

協会けんぽ ホームページより抜粋

在職時より引き続き扶養に入れるかどうか?被保険者と別居しているかどうか?で書類が異なります。

在職時より引き続き扶養に入れる同居のケース

一番書類が簡素化されているのが在職時より引き続き扶養に入れ、かつ被保険者と同居している場合です。この場合は所得証明、非課税証明などで大丈夫です。添付書類は大阪に関しては原本じゃなくてコピーで可となっています。

因みに16歳以上は所得証明が求められます。通常、就職時の社保手続きは事業主の証明で添付書類は不要ですが、確認する機関が無いために所得証明が求められます。

 

あと、扶養に入れれる範囲は加入時点で年収130万円(180万円)を超える見込みがない場合に加入できます。それは在職時の扶養追加と同じ考えです。

在職時より引き続き扶養に入れる別居のケース

別居の場合は被扶養者の所得証明と送金証明が必要になります。要は生計維持をしているかの確認になります。在職時の扶養追加の場合は仕送り金額が被扶養者の年収以上で有る必要があるので、任意継続でもこの基準が踏襲されるものだと考えます。

 

任意継続の資格取得と同時に新たに被扶養者となる場合

同居の場合でも新規で扶養に入れるということで、続柄を証明する書類や同居していることを証明する書類が求められます。これは、住民票で代替できます。あとは、所得証明が必要になります。

③ 退職日の確認できる書類

代表例は国民健康保険に加入時に必要な社会保険資格喪失証明書で代替できます。離職票などでも可能ですが、発効までに時間がかかります。社会保険資格喪失証明書は会社が作成する書類なので、すぐにでも作成できます。因みに退職日の確認できる書類は任意です。添付しなくても申請はできますが、添付する方はスムーズに保険証が発行されます。

 

被保険者の期間

① 任意継続被保険者となった日から2年間です。任意継続の一番のポイントは任意で脱退ができない点です。

  任意継続被保険者の資格喪失

次のいずれかに該当するときは、被保険者の資格を喪失するので、被保険者証をすみやかに返納する必要があります。(カッコ内は資格を喪失する日です)

  1. 任意継続被保険者となった日から2年を経過したとき。(被保険者証に表示されている予定年月日)
  2. 保険料を納付期日までに納付しなかったとき。(納付期日の翌日)
  3. 就職して、健康保険、船員保険、共済組合などの被保険者資格を取得したとき。(被保険者資格を取得した日)
  4. 後期高齢者医療の被保険者資格を取得したとき。 (被保険者資格を取得した日)
  5. 被保険者が死亡したとき。(死亡した日の翌日)

※国民健康保険に加入したい、家族の健康保険の扶養になるなどで資格喪失できない。資格喪失したいなら②の保険料を納付せずに資格喪失させるしかない。

因みに③④に該当する場合は「資格喪失申出書」が必要。

 

保険料と納付方法

① 保険料の納付期限

毎月の保険料は、月初めに送付される納付書でその月の1日から10日(10日が土・日曜日又は祝日の場合は翌営業日)までに納めます。(正当な理由なく納付期日までに保険料を納められないと、納付期日の翌日で資格喪失することとなり、被保険者証は使用できなくなります。)

② 保険料額

退職時の標準報酬月額に保険料率をかけた金額が保険料です。端的には退職時点の健康保険料負担の×2倍です。健康保険料が5千円控除されていたら任意継続の保険料は1万円になります。

令和33月からの大阪の健康保険料率は10.29%なので、例えば標準報酬月額が30万円の人なら300,000円×10.29=30,720円になります。在職中なら社会保険料は労使折半なので15,360円の負担になります。

労働者からすると結構な負担感ですが、それでも国民健康保険より安いケースもあります。

 

ただし、退職時の標準報酬月額が30万円を超えていた場合は、標準報酬月額は30万円で計算するので、標準報酬月額が50万円でも30万円で見てくれるのは大きいです。高額報酬者であればあるほど、任意継続をするメリットになります。

  

任意継続被保険者の保険給付

任意継続被保険者である間は、在職中の被保険者が受けられる保険給付と同様の給付を原則として受けることができますが、傷病手当金・出産手当金は、任意継続被保険者には支給されませんので、注意が必要です。ただし、資格喪後の継続給付に該当する場合は、傷病手当金や出産手当金も受給できます。

申請時のポイント

① 支給申請書に在職時に保有していた健康保険証の記号番号を記載すれば、マイナンバーカードの添付は不要です。もし、記号番号が分からないとマイナン   バーを記載してマイナンバーカードのコピーを添付しないといけません。もし、マイナンバーカードが無いと、個人番号通知カート免許証等2点求められます。

これは地味に負担です。なので、退職時に保険証のコピーはきちんと保管しておくことをお勧めします。

② 被扶養者に関してはマイナンバーを記載すればOKです。健康保険証の記号番号の記載は不要で、マイナンバーカード自体の添付も不要です。