障害者手帳無しで障害厚生年金2級決定 広汎性発達障害の事後重症請求での年金成功事例

  

20215月頃に事後重症請求にて請求していた障害厚生年金の結果が出て、無事2級が受給できました。最近審査がスムーズで、3カ月ほどで請求者の自宅に届くので助かっています。

この事例で特徴的なのは①障害者手帳無しで年金が受給できた点 ②向精神薬の処方が無くても年金受給できた点です。以下ではこれについて解説します。

  

障害者手帳と障害年金

 この両者の関係は非常によく聞かれますが、別に障害者手帳が無くても障害年金は受給できます。私も無手帳の状態の方の年金サポートで無事年金受給まで至ったケースを何回も経験しています。

 障害者手帳が無いと年金請求ができないと考えられる理由

理由として大きいのは先入観だと思いますが、もう少しロジカルに考えると障害年金より障害者手帳の方が早く手に入るので、障害年金を受給している人が障害者手帳を持っているという関係から手帳取得が年金受給の為に必要であると考えられたのかと推測します。

精神保健福祉手帳を例に挙げると、精神保健福祉手帳は初診から6か月経過で取得が可能になります。障害年金は初診から16か月経過で請求ができるので、順調にいけば手帳を取得して障害年金を請求するという流れになります。

 

手帳の等級と年金の等級

  これもよく勘違いされる点ですが、障害者手帳と年金の等級は連動しません。理由は審査機関が異なり、根拠法も異なるからです。なので、精神保健福祉手帳3級の方から依頼が入り障害年金は2級のケースは経験的にもよくあります。

この勘違いも先入観だと思いますが、精神系の疾患を題材にもう少しロジカルに考えると、年金と手帳の診断書の項目が似ているからと考えます。

下記は精神系の診断書

 

下記は精神保健福祉手帳の診断書

  両者の診断書の日常生活の項目は非常に似ています。年金は7項目では判断されますが、手帳は8項目で審査される違いはありますが、日常生活動作や日常生活のポイントは似ています。精神保健福祉手帳の相場(この程度の診断書なら2級とか1級とか)は公表されていないので具体的には分かりませんが、障害年金の等級判定の目安に類似していると考えられます。

等級判定の目安

 

そうなると、精神保健福祉手帳が3級程度なら年金も3級程度、2級程度なら2級程度になる可能性は十分あります。特に、年金と手帳で診断書の項目がさほど変わりないなら猶更です。しかし、これはあくまでも相場的なものなので、私が申請代行する場合は年金用にきちんと日常生活のヒアリングを行い請求者の日常生活状況をまとめ、それを医師に見てもらい診断書を作成してももらいます。なので、手帳は3級だから年金も3級と諦めるのではなく、きちんと段取りを行えば2級になるケースも十分あります。

 

 

年金証書で障害者手帳を取得

精神疾患の場合ですが(知的障害は不可)、障害年金が認められるとその年金証書の等級で精神保健福祉手帳が発行されたり、精神保健福祉手帳の更新時はその年金証書で更新ができたりします。

しかし、逆はダメで精神保健福祉手帳では障害年金は下りないので注意が必要です。

これは意外と知らない人が多いです。障害者手帳は保有していると障害者控除を受けれたり、公共交通機関の割引が受けれたりするので、保有していたら有利です。しかし、取得や更新には診断書が必要になりますが、年金証書があれば診断書に替えることができ費用面で節約ができます。

 

向精神薬の服用が障害年金に与える影響

  精神系の障害年金の場合、精神薬の存在が必須に思われるかもしれません。この考えは反面正しいですが、反面間違いです。精神系の障害年金は知的障害・広汎性発達障害・高次脳機能障害等服薬を前提としない疾患も存在する一方で、うつ病・統合失調症・双極性障害等・の精神障害も含まれいます。うつ病・統合失調症・双極性障害の精神障害は精神薬の服用が前提になるので、もし服用していない場合は合理的な理由が求められます。

私も以前サポートした事例でうつ病での請求で請求人が服薬をしていなかったと指摘を受けたことがあります。請求人は糖尿病にもり患しており、高齢者でもあることから精神薬は積極的に服用していないと医師の意見という事で審査請求にて理由を述べたことがあります。そこでの経験で国側は服薬=病状が重い、服薬なし=病状が軽いという短絡的な思考をしていると感じました。実際精神薬を処方したくてもできない事例もあることから、その点はきちんと診断書等を読んで審査して欲しいと感じた記憶があります。

 

一方、知的障害・広汎性発達障害・高次脳機能障害等は服薬などを前提としない疾患であるので年金審査でも服薬の有無はそこまで重要視されないなと経験的に理解しています。本件も広汎性発達障害なので服薬についてはそこまで見られなかったと思います。

 

終わりに

 

 

精神系の障害年金は色々な要素が総合的に合わさり受給の可否が決まります。

お困りなら是非ご相談ください。