【社労士解説】うつ病の初診日が変わる?「過去の精神科通院」が繋がってしまう罠(相当因果関係)

「今のうつ病で初めて病院に行ったのは2年前です。実は10年前に別のメンタルクリニックに通っていましたが、あれは仕事のストレスによるただの不眠だったので、今の病気とは関係ありませんよね?」

障害年金のヒアリングをおこなっていると、このように「あの時の病気と今の病気は別物」とご自身で区切りをつけている方に頻繁にお会いします。

しかし結論から申し上げますと、本人が「関係ない」と思っていても、過去の精神科・心療内科の通院歴は、現在の病気と繋がっている(同一の病気である)とみなされる可能性が極めて高いです。今回は、精神疾患の障害年金において最も恐ろしい「相当因果関係」のトラップについて詳しく解説します。

障害年金における「相当因果関係」とは?

日本年金機構には、「前の病気がなければ後の病気は起こらなかっただろう」と医学的に認められる場合、それらを「一つの同じ病気」として扱う『相当因果関係』というルールがあります。

精神疾患の場合、この因果関係が非常に広く、厳しく問われます。ご本人が「病名が違う」「何年も治っていた」と思っていても、審査側は以下のように判断します。

⚠️ 過去の通院が繋がってしまう、よくあるケース

  • 「不眠症・自律神経失調症」➡「うつ病」
    本人はただの不眠と思っていても、うつ病の初期症状とみなされ、不眠での受診日が初診日になります。
  • 「適応障害」➡「双極性障害」「統合失調症」
    若い頃の適応障害が前兆であったとして、数年〜十数年前まで初診日が遡るケースがあります。
  • 「大人の発達障害」➡「うつ病(二次障害)」
    うつ病を発症しても、根本原因である発達障害のために初めて受診した日が初診日として扱われます。

「関係ない」と隠しても、必ず審査で発覚します

「それなら昔の通院なんて黙っていればバレないのでは?」と考える方がいらっしゃいますが、これは100%発覚します。

医師は初診時に過去の通院歴をヒアリングするため、現在の診断書に「前医あり(10年前に〇〇クリニック受診)」とバッチリ記載されてしまいます。また、紹介状(診療情報提供書)の記録からも過去の通院歴は容易に判明します。審査官はこうした書類の隅々まで目を光らせており、絶対に見逃しません。

初診日が過去に遡ってしまう「3つの致命的リスク」

自己判断で今の病院を初診日として提出し、後から「初診日が間違っている」と突き返されると、以下のような致命的な悲劇が起こります。

  1. カルテ破棄の壁に阻まれる: 病院のカルテ保存期間は5年です。10年前の病院が初診日になると証明ができず、年金が一生もらえなくなる最大の原因になります。
  2. 診断書がすべて無効になる: 初診日が変われば障害認定日も変わります。数万円払って書いてもらった診断書が紙切れになり、完全なやり直しが発生します。
  3. 納付要件を満たさなくなる: 過去の時点で年金未納が多かった場合、昔に遡ったせいで「未納要件に引っかかり不支給になる」最悪のケースが存在します。

プロのヒアリングで「真の初診日」をあぶり出します

「自分はいつが初診日なのか」を自己判断だけで決めるのは、目隠しをして地雷原を歩くようなものです。少しでも過去の通院歴に心当たりのある方は、病院へ診断書をお願いしに行く前に、必ず当事務所へご相談ください。全ての通院歴や「社会的治癒(完全に治っていた期間)」を分析し、最も安全で確実な初診日を特定します。

複雑な初診日の特定は、プロにお任せください

大阪・泉南エリアを中心に、精神疾患による複雑な障害年金申請をフルサポートしております。「自分の初診日がどこになるか分からない」「過去のカルテがあるか不安だ」という方は、あずさ国際年金・労務事務所までお早めにご相談ください。

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