障害厚生年金、うつ病で遡及請求の手続きが完了しました

 

今回の請求の争点

 

① 社会的治癒について

 

この請求者は転院はなく初めて通院した病院のみ現在でも通院しています。しかし、初診日は2005年頃と古く、当時約1年通院していた履歴があるので、そこが今回請求するうつ病の初診日になるかどうかが一つの争点になります。

仮に2005年がうつ病の初診日となったとしても、2005年以降は2016年再診まで約10年未受診の期間が有るので、その期間が社会的治癒として認められるかが二つ目の争点になります。

  

② 対応方法(診断書ベース)

 2005年と2016年に通院した理由が違うことを「明確に違う」と診断書に明記してもらいました。2005年の通院理由は家庭の問題、2016年は仕事の問題と異なるので原因が異なるのは事実です。2005年の傷病は不明ですが、仮にうつ病だとしても原因が異なるというのは別傷病と認定される可能性はあります。

そして、そもそも2005年の傷病も治癒していると診断書に記載して貰いました。これは、前発傷病が治癒している場合、後発傷病は別傷病とする初診日のルールを意識しての記述です。

③ 対応方法(病歴就労状況申立書ベース)

病歴就労状況申立書でも前発傷病が治癒していることを説明します。それが社会的治癒の概念です。

社会的治癒は医学的には治癒していないが、社会的に見れば治癒したものと考え後発傷病を新たな初診日とする概念です。ようするに、以前はうつ病で通院しており、それが医学的に完治したかどうかは不明だが、少なくとも社会的に見れば完治している(その間仕事をしている、きちんと日常生活を送れている、通院していない等の生活が問題なく送れている)と捉え、後の通院日を初診日として捉える考えです。

請求者はその間仕事もバリバリこなし給料も高水準で維持し、また仕事でもその功績を評価されたりもしていましたので、仮に治癒が認められなかった保険として社会的治癒を主張しました。そしてその事実の裏付けに辞令や写真を添付資料として提出しました。

 

④ 社会的治癒が認められるとどうなるか?

社会的治癒が認められると初診日が2016年になります。認められないと2005年初診日になるか初診日不明で最悪は不支給になる可能性が有ります。

今回2016年初診日にこだわった理由は認定日請求が可能になるからです。

もし、2005年初診日なら認定日請求ができないのです。認定日請求は初診日から1.5年経過後に請求する方法です。2005年から1.5年経過時点は病院を受診していないので認定日請求できません。

社会的治癒は他にも前発時点では保険料納付要件を満たさないので是が非でも後発傷病を初診日にしたいケースや、前発傷病が国民年金期間で後発が厚生年金期間であるケース、またずっと厚生年金期間でも後発傷病の方が多く保険料を納めているので後発初診日で請求するケース等様々な場面で活用できます。

 

 

最後に

 

社会的治癒を活用して請求するのは様々な状況を想定して進めていかないといけません。

 

その様な場合は是非社労士にご相談ください。

 

あなたに最適な請求方法をご提案してスムーズに手続きを進めていきます。